エスプレッソのような人生を ページ26
--- You side
飲み会のあと、一緒に誠也の家に帰って泊まって、土曜日は1日家で映画を観たりしてまったり過ごした。
それはまぁ思い出すだけできゅんきゅんするほどたっぷり甘やかされたんやけど、意外と甘えん坊な一面も見えてきたりして。
今は私が甘やかされてばっかりやけど、そのうち誠也からももっと甘えてくれたらいいなぁなんて思ったりした。
そして今日は、東京で働いてる友達が久しぶりに帰ってくるらしく、その人との待ち合わせ場所に向かう足で家まで送ってくれた。
私は特に予定も入れてなかったから、今日は1人で休みを満喫することにした。
「昨日ゆっくりできたしなぁ、買いもんでも行こっかな」
てか、その友達とやらの話をちょっと聞いたところ面白そうやったから、いつか会ってみたい！って言うと、嬉しそうではあったけど『どうしよっかなー』なんて言われた。
たしか、“じょう” って呼んでた気がする。
あと別れ際にボソッと言うてたけど、心配かけたくないからって、男友達やでってのをアピールしてくれてたらしい。
ほんまそういうところ優しいんよなぁ〜なんて誠也のことで頭をいっぱいにしたまま出かける準備をしてたら、無駄にめかしこんでしまった。
1人で出かけるだけやけどたまにはこういうのも悪くないか、と浮かれた気持ちで、少しだけ遠出して大きめのショッピングモールに向かう。
服とか、靴とか、アクセサリーとか。
久しぶりにゆっくり見て回って、いくつか気に入って買えたものもあって更にルンルン気分。
1人で出かけた日のパターンやけど、お買い物をした後は必ずカフェに入る。
今日も例に漏れず、パッと目にとまった落ち着いた雰囲気のカフェに入って、エスプレッソとレアチーズタルトを注文。
「うん、甘くて美味しい」
自然とエスプレッソを甘くしてることに気付いて、誠也と初めて出かけた日のことをふと思い出した。
車で迎えに来てくれて、初めてプライベートな話をたくさんして、海が見えるカフェに入って。
エスプレッソ甘くすると美味しいんやでって教えてくれて。
あの日から私は、ほぼ毎回お砂糖をたっぷり入れるようになった。
それまでは勇気が出なくてずっと苦いまま飲んでたのに。
それはそれで好きではあるんやけどさ。
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作者名：きうい | 作成日時：2022年5月11日 12時
