Dearest Love ページ3
--- Seiya side
珍しく正門から電話がかかってきて、何かあったんか思たらAちゃんがお酒飲んで寝てしもたと。
1人で飲みに行くとか何やってんねんこいつ。
でも俺の事で悩んでたって、正門はそう言うてたな。
気になるけどあかん。連れて帰るんが先や。明日聞こ。
末「シートベルトつけた？」
「んー？」
末「寝んなや！もーめんどくさいなぁ」
全く動こうとせんから、助手席のシートベルトを引っ張ってつける。
口をついて出るのは文句ばっかりやけど、こいつの世話を焼くのは嫌いじゃないねんな。
「へへ、末澤さんのにおいや」
末「へ？」
なんやそれ。いつもつけてる香水のことやろか。
俺の匂い覚えてくれてるんやな。
末「とりあえず帰るで」
「はーい」
そういえば、Aちゃんが住んでるマンションはこの前送って行ったから分かるけど、部屋番号が分からん。
聞いてみようかとチラッと隣を見ると、寝てんのか起きてんのかよう分からん様子で窓の外を見てて、今のこいつが言う部屋番号なんか信用ならへんなと思ってやめた。
となると俺の家しかないけど、まぁええか。
車内で流れる音楽に合わせて時々口ずさんだり、眠そうに大あくびをしたり、静かにぼーっとしてたり、たまに俺の方をじっと見つめてきたり。
出会ってすぐの頃はガチガチやったAちゃんが今俺の隣でこんなに気ままに過ごしてるんやなと思うと、少し嬉しくなった。
末「なぁ」
「はい」
末「見すぎ」
「えっ」
末「さっきからずっとこっち見てるやろ」
「あっ、えっと、」
末「バレバレやで」
「……もう見ません」
すぐ拗ねるけど、そんなところも可愛い。
てか俺いつからこんなにハマってるんやろ。
そろそろ答え聞かせてくれてもええのにな。
ゆっくりでええよ言うたんは自分やのに、変に焦ってるわ。
そんなことを思いながら車を走らせて家に着くと、Aちゃんはまた完全に寝落ちてた。
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作者名：きうい | 作成日時：2022年5月11日 12時
