まっさんのお仕事 ページ1
--- Yoshinori side
今日はお休み。
大学生の頃からよく行ってた焼き鳥屋さんに、久しぶりに行ってみるかぁと軽い気持ちで足を運んだ。
そしたらカウンターで1人メニューを眺めてる見覚えのある女の子がいて。
正「Aちゃん？」
「あ、えっ？！正門くん！！」
迷わず声をかけた。
あの頃から何も変わってなくて、見た目だけは少し大人になった俺の好きな人。
この子はどうやら俺の友達のことが好きらしい。世知辛いよな。
昔みたいにAちゃんの分まで一緒に注文して、ビールとハイボールで乾杯をする。
「正門くんはやっぱりビールなんですね」
正「そこはブレへんなぁ。逆にAちゃんがこんなに飲む人になったとはね(笑)」
「昔はウーロン茶で乾杯してたもんなぁ」
思い出話もそんな些細なことから始まったんやけど、いきなりとんでもない爆弾をぶっ込まれてさすがにドキッとした。
「私、正門くんのこと好きやったんですよねぇ」
そんなんさ、もっとはよ言うといてよ。いや意気地なしやった自分が悪いのか。
正「俺も好きやってん、Aちゃんのこと」
なるべく平静を装って返してみたけど、今のAちゃんにはどれだけ響くか、正直わからん。
『俺は今も好きやで』そう言えたらどれほどよかったやろう。
もうとっくに誠也くんのことが好きなくせに、何かに縛られてずっと足踏みしてるこの子の背中を押してやれるんは俺しかおらん。
何故かそう思って、Aちゃんの気持ちをできるだけ丁寧にほぐしていくと、だんだん自分から話してくれるようになってきた。
「この前会社で可愛い女の人と楽しそうにしてるのを見て、なんかやっぱり私じゃないんちゃうかって思ってしまって」
「会社でいつも通り喋ってたら周りからの視線が痛いし」
「末澤さんはあんなにかっこいいのに、私はこんなモブキャラで、絶対釣り合ってへん」
やっぱり誠也くんのこと大好きなんやん。
自分に自信がなかったり、周りの環境がよろしくないだけやん。
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作者名：きうい | 作成日時：2022年5月11日 12時
