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--- Seiya side
やっと言えた。言ってしまった。
好きやと言うた時、Aちゃんは案の定かなりびっくりしてた。
わりとアピールしてたつもりなんやけどなぁ。
まぁ、俺の気持ちを伝えたことでちょっとでも意識してくれるなら、とりあえず今日は十分かな。
にしても、さっき『本気で口説いてくださいね？』って言われた時はやばかった。
本人はきっと気付いてない。
夕陽と同じ色に頬を染めてそう言った彼女は綺麗やった。
なんとか理性で耐えたけど、あのまま話を続けてたらまたやらかしそうで、誤魔化すかのように車に帰ってきてしまった。
「海綺麗やったなぁ、夏にまた行きたいですね！」
車窓に流れる景色を眺めながら、そんなことを無邪気に言ってくるAちゃん。
それ、わざとか天然かどっちなん？
末「また俺とデートしてくれるってこと？」
「あぁ、デート……そっか、そうですね、ふふ(笑)」
末「え？なに？今日はデートじゃないとか言う？(笑)」
「いやいや！デートですよ？末澤さんがそう言うなら」
末「俺次第なん(笑)」
そんなふうに嬉しそうにされると期待してしまうやんか。
まじで本気で口説いたろ、そう思ったのに。
「末澤さん」
末「ん？」
「わたし、正直分からないんですよ、自分の気持ちが。」
末「うん」
「末澤さんのことかっこいいなとは思うし、その、ちゅーとかされても、嫌じゃなかったし。」
末「うん」
「でも、なんかまだ飛び込む勇気がないっていうか……上手いこと言えないんですけど。」
末「…うん」
「やから本気で口説いてくださいって言いました。これは一応伝えときますね。」
なんやそれ、大抵の女の子はその時点でじゃあ付き合いましょうってなるんちゃうの？
あと一歩踏み込むための何かが必要ってことか。
ほぼ両思いみたいなもんやんと期待を膨らませながらも、先手を打たれたことに多少の悔しさを感じた。
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作者名：きうい | 作成日時：2022年4月23日 9時
