最悪の出会い ページ1
--- You side
代わり映えしない毎日に飽きてきた24歳の春。
毎日無心で仕事をこなす。
今日は久しぶりに気持ちいいほどの快晴。
桜の木は蕾を膨らませ、どこかで小鳥が楽しそうに鳴いていた。
隣の席でパソコンとにらめっこしてる小島くんの頭には、昨日と同じようなところにピョコンと、直し切れてない寝癖がついたまま。
「位置まで同じって…」
小「え？なんか言うた？」
「べつにー」
ふーんと少し不満そうな小島くんは、パソコンに向き直って再び格闘。
同じフロアで、少し遠いけど見える位置にいる大晴くんの方を見ると、また末澤さんに怒られてるみたいやった。
末澤さんは、仕事がめちゃくちゃできる上に顔が良いのでわりと有名で、女性社員の間でも人気があるらしい。
事実、食堂に行けばファンみたいな人たちが末澤さんの噂話で盛り上がってるし、関わったことのない私みたいな人でも名前と顔は知ってたりする。
まぁ正直、顔は私もけっこうタイプ。
でも話したこともないし、きっと私みたいな地味なモブキャラなんか知られてないんやろうな〜と、あんまり気には留めてない。
12時を知らせるチャイムが鳴った。
「やっとお昼や〜〜」
小「めし行こ」
同期である小島くんと大晴くんと話しながらご飯を食べるお昼休みだけが、一日の中で唯一、少しだけ楽しい時間。
「大晴くん今日も怒られてなかった？(笑)」
福「また見てたん？(笑) 怒られたわ〜」
「それでもいつもモチベ高くて偉いよなぁ、尊敬する」
福「言ってる事は正しいからな〜あの人」
小「なるほどねぇ」
「午後も見といてあげるから頑張ってよ。な、小島くん」
小「そうやぞ、俺らが見といたるから」
福「恥ずいからやめて(笑)」
楽しい時間はあっという間。
いつも通り3人でわいわいと昼食を済ませて自席に戻り仕事を再開する。
午後は特に打ち合わせとかもないから、ひたすら資料作りを進めることにした。
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作者名：きうい | 作成日時：2022年4月23日 9時
