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--- You side
あんなにドキドキしたのは久しぶりやった。
いや、なんなら初めてかもしれん。それくらい心臓がうるさかった。
末澤さんの手が伸びてきた時、次にされることが一瞬で分かった。分かったけど抵抗せんかった。
言われた通りちょっと応えてたのかもしれん。
でもここ数年ずっと恋愛とは無縁やったし、この胸の高鳴りが末澤さんやからなのか、単に久しぶりやからなのかが分からんくなってる。
それに末澤さんが本気なのが伝わってきて、中途半端な気持ちでお付き合いするのは良くないと思って。
やからすぐに答えを出せへんかった。
その後はふつうに他愛ない話をしつつ移動して、晩ご飯もてきとうなお店で済ませた。
と言っても普段よりは少しお洒落な雰囲気のお店で、意外とちゃんとデートっぽかった。
そして、末澤さん曰く『今日の締めにぴったり』な最後の目的地へ向かってる。
ちょくちょく照れさせるようなことを照れながら言ってくるけど、それ以外は今までと何ら変わりなかった。
喋ったり、無言やったり。そんな空間が心地良い。
大晴くん、私らが気合うってのは案外当たってたかもしれん。
流れる音楽に合わせて機嫌よく鼻歌をうたいながら運転する末澤さんは、なんだか絵になる。そりゃ人気も出るよな。
わたしはこのモテ男に好かれてしまったんかと若干の引け目を感じた。
というかさっきから思ってたんやけど、
「末澤さん歌上手ですね？」
末「そう？まぁ歌は好きやけど」
なんでもできて優しくて顔も良くて、おまけに歌もうまいときた。
ずるいよなぁほんま。
「身長…」
末「誰がチビや！」
「いや、言ってないです(笑)」
末「だる(笑)」
そんなアホみたいなやりとりをしてる間にどうやら着いたっぽい。
末「ほんまに今日の締めにぴったりやから」
「もう何回も聞きました(笑) 楽しみです」
車を降りて傾斜のある道をのぼって行き、少し開けたところに出ると『こっち』と言う彼。
ついて行くと、キラキラと輝く夜の街が見えた。
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作者名：きうい | 作成日時：2022年4月23日 9時
