17「烏と狐」 ページ20
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時刻は丁度午前9時を指している。
バスで東京へと向かった烏野高校男子バレーボール部一同は東京という場所にキラキラとした眼差しをむけていた。
「やっっと着いたなー」
「シティボーイゴラァ!!!」
「田中」
「ウス」
腕を高く伸ばしながら空気を思いっきり吸い込んだ日向は、かつてないほどワクワクとした高揚感に包まれていた。
大好きなバレーが強い人たちとできる、でも今回は──それだけじゃない。
「(会いたい人に会えるんだ…!!)」
日向は新しく芽生えた気持ちに戸惑いながらも、その人の到着を心待ちにする。
俺のこと覚えてるかな……名前とか聞かれたらなんて答えよう…あっそうだ、まずは彼氏がいるかいないかだ!!!
やってやるぞ、と珍しくバレー以外で日向はやる気に満ちていた。
「なあツム、トリノ高校ってなんや?」
「阿呆かサム、烏野高校や。インターハイ予選負けのな」
全く聞き慣れない関西弁と嫌味ったらしい声に勢いよく振り返る。
だがその瞬間───バチっと目があった。
ブロックに見下ろされたときのように、日向の身体は緊張で強張った。
「…なんやこのおチビちゃん」
「迷子じゃない?」
「いやジャージ着てるやろ」
黒のジャージに金髪と銀髪と長身。加えて強豪校。
全身から本能的にガクガクと震え、少しずつ後退りするがそれも虚しくどんどん迫ってくる。
大地さんたちは挨拶に行ってて今いないし、月島たちに助けを求めんのは俺が許さない。
影山でもいいから誰か来てくれ…!!
「日向くん?震えてるけど、大丈夫…?」
後ろから聞こえた、救いの声。
ずっと聞きたかった。こんな形で会うのは情けないけど、目の前の怖い人たちが嬉しそうなのも嫌だけど、それでも会いたかった人。
「ゆ、結城さん!!烏野高校一年ひっ日向翔陽です!!!彼氏いますか!?」
「ブッッ」
綺麗に敬礼をしながら自己紹介した日向に結城はにこにこしたがら困惑する。あれ、日向くんの後ろにいるの宮さんたち……?あっ背が高いから怖かったのかな?とほわほわ考えながら口を開いた。
「彼氏はいないし、できたことないよ」
「よかったなあ日向くん?
まあ俺がAちゃんの未来の旦那やけど」
「そ、そうなんですか?!」
「うん、違うよ日向くん」
可愛いねえと微笑んだ結城に、日向の頭はショートした。
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ワ - いいなー!!!私も二次元入って宮兄弟にナンパされたいーーーー!!!てか友達になりたい!!この作品ちょーー面白いのでこれからも頑張って下さい!!!応援してます!!ヾ(。>﹏<。)ノ゙✧*。 (2月9日 17時) (レス) @page1 id: 98e979a673 (このIDを非表示/違反報告)
彩都(プロフ) - お帰りなさい!第一志望合格おめでとうございます!無理せず頑張ってください!応援しています! (2月7日 23時) (レス) @page18 id: 11dbb3cd4a (このIDを非表示/違反報告)
マジモンの名無し(プロフ) - お帰りなさいませ!!!更新復活ありがとうございます。映画の楽しみですよね!これからも無理なく頑張ってください 応援してます (2月7日 22時) (レス) @page18 id: 1d36f8c737 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん(プロフ) - おもしろくてすぐに読み終わりました(о´∀`о)続きが気になります😃更新頑張って下さい(*´∇`*) (9月3日 4時) (レス) id: d0dd043faf (このIDを非表示/違反報告)
モモ - かーーーーーーーーーーーみです。ナンパされて当然だという格好をしていました。かぁぁぁぁぁかわいい!! (2023年1月7日 10時) (レス) @page15 id: 759a61aa3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くせらや | 作成日時:2022年11月23日 17時