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それから自己紹介をした。
コイツはAA、と言うらしく俺は頭の中で何度もそれを反芻した。
"A A"
綺麗な名前、字面、何度も口にしたくなる。
「恵くんってさあ、学校つまんない?」
「……別に」
「あっ!ほらまた!"別に"って!!
もっと他に思うことないの?!」
「………悪くない」
「んーーー!!!!」
お花畑に座り込んだ俺たちはシロツメクサで冠を作ったり、たまに来るちょうちょを眺めたりして時間を過ごしていた。
俺にはわからないキャラがプリントされた白のTシャツが、そのキャラがなければお花畑にぴったりだった。
なんというか………なんだっけ、津美紀が言ってたやつ──
「妖精、?」
「え?!妖精?!どこ?!」
「あ、いや、」
「あ!もしかして恵くんってアレ視える?!」
A…ちゃん、が指した先には黒い渦のようなものがあった。確か五条さんがジュレイって言ってたっけ。
俺にしか視えず、津美紀やクラスメイトは視えていない。
Aちゃんも同じ筈なのに……もしかして視える?
「なんとなくなら……」
「うっそ!!私初めて出会った!
私たち"運命"かもね!」
「運命?」
「そ!」
津美紀が言ってた気がする。
御伽噺のお姫様と王子様は運命だと。
つまり俺が王子様でAちゃんがお姫様…いや、そんなことあるわけないか。
Aちゃんがお姫様なら尚更、俺はその隣にいるべき人間じゃない。
「また明日も此処に来ようね!」
「……気が向いたらな」
「それ一生向かないやつ!!」
ビシッと指を指されて思わず笑みが溢れた。
するとAちゃんは目を丸くし、恵くんって笑えるんだね!と中々傷つつくことを言ってのけた。俺だって笑う時はある。……多分。
ああでも、津美紀に言われたんだっけ。恵はもっと子供らしくしていいって。
それが、今日初めて話した相手にできてしまうんだから、Aちゃんは本当に俺の運命の人なのかもしれない。
…なんて、あまりにも都合が良すぎる。
「というか、そのキャラクターなに?」
「キュアホワイトとキュアブラック!」
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かぐや - あなたは神ですか?最高の作品をありがとうございます! (4月29日 19時) (レス) @page50 id: 41bd4258fc (このIDを非表示/違反報告)
Kさん - 追記: 好きすぎて「ええやん!!」と叫んでしまって親に「煩い!とっとと寝ろ!」と怒られました....仕方ないだろぉ、最高なんだからこの小説、最高なんだから (7月11日 19時) (レス) id: 91d89c4fce (このIDを非表示/違反報告)
Kさん - めちゃ良い愛され具合.....もしかして小説書かれていますか?本を出版していらしやすか?めちゃ好きなので続き欲しいでやす!あと、受験生って同じですね。頑張りましょう (7月11日 19時) (レス) @page34 id: 91d89c4fce (このIDを非表示/違反報告)
くさ - 制服、下はほぼ足なのに上は野薔薇ちゃんと一緒で長袖なの良いですね…!!この小説大好きです!「終わり」になってますがまだ書く予定があるなら更新無理なく頑張ってください! (2022年12月27日 9時) (レス) @page32 id: 56aae56e91 (このIDを非表示/違反報告)
吹雪 - うっうっうっう(ないてる)好きすぎて、でも虎杖が死んだってときは知ってるはずなのに泣いちゃって…好きですありがとうございますオタクとか最高すぎん????????更新応援してるぜ!がんばってくだせぇ! (2022年10月6日 7時) (レス) @page27 id: ad117a8b13 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くせらや | 作成日時:2022年8月26日 13時