41 オタク奇譚 ページ43
.
虎杖悠仁は今までマトモに恋をしたことがない。
いつの頃からかジェニファー・ローレンスが好きになっていたが、別にリア恋ではないし好きといっても"推し"ではない。
綺麗なお姉さんを見ても、綺麗だな〜〜と男なら当たり前に抱く感情しか抱いていなかった。
だが、少年は一目惚れというものをしてしまった。
「いたどりお前〜〜七海さんのことナナミンって呼ぶとは流石ワンコだね」
「わ、わんこ……?」
現在目の前でパンケーキタワーを食べている彼女こそ、虎杖悠仁の初恋相手である。
見た目はまさに眉目秀麗、きめ細やかで透明な肌と艶やかに影を落とすまつ毛。宝石のように輝く柘榴色の瞳は現実離れした──どこか浮いた美しさを際立てていた。
だが中身は至って普通の女子高生。どちらかといえば少し変わっている部類になるだろう。
「(…クリームついてる、かわい)」
「ほんでさ、そのツギハギ男?に順平?って子が狙われてるの?」
「ぁ、ああ!!そーなんだよ、!!!……順平のヤツ、おかしいことに気付いてないみたいで..」
「んー…気付いてるけど、居場所がないからそのマヒトって人に心酔してるんじゃないかな」
たしかに、と虎杖は納得すると同時にやっぱり頭いいな、と感じた。
この前の少年院のときもそうだった。
呪術をまだ初めて一年としかない彼女が、あの場で誰よりも冷静だった。
今だって、パンケーキをリスのようにもきゅもきゅと食べながらも虎杖の話をちゃんと聞いている。
「(そーゆーとこなんだよな〜〜…好きになるよそりゃあ)」
伏黒には、申し訳ないと思っている。
幼馴染というポジションにいるアイツには到底、Aのことでは敵わない。
だからって諦めるつもりはない。
初恋は実らないってよく言われてるけれど、それは伏黒も同じだ。
「七海さんに怪我を負わせるなんて、ちょっと気になるかも。虎杖の
「お姉さん随分楽観的ね……」
魂に干渉するんだったら、私の術式ってどうなのかな〜〜と呑気に言う彼女に少しばかり安心する。
七海建人と同じ1級術師。その1級が手こずるのはやはり特級である証拠だった。
虎杖にはその不安が、1番怖かったのだ。
「まあ、会ってみるしかないよね
順平くんとやらに、さ!!」
1131人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かぐや - あなたは神ですか?最高の作品をありがとうございます! (4月29日 19時) (レス) @page50 id: 41bd4258fc (このIDを非表示/違反報告)
Kさん - 追記: 好きすぎて「ええやん!!」と叫んでしまって親に「煩い!とっとと寝ろ!」と怒られました....仕方ないだろぉ、最高なんだからこの小説、最高なんだから (7月11日 19時) (レス) id: 91d89c4fce (このIDを非表示/違反報告)
Kさん - めちゃ良い愛され具合.....もしかして小説書かれていますか?本を出版していらしやすか?めちゃ好きなので続き欲しいでやす!あと、受験生って同じですね。頑張りましょう (7月11日 19時) (レス) @page34 id: 91d89c4fce (このIDを非表示/違反報告)
くさ - 制服、下はほぼ足なのに上は野薔薇ちゃんと一緒で長袖なの良いですね…!!この小説大好きです!「終わり」になってますがまだ書く予定があるなら更新無理なく頑張ってください! (2022年12月27日 9時) (レス) @page32 id: 56aae56e91 (このIDを非表示/違反報告)
吹雪 - うっうっうっう(ないてる)好きすぎて、でも虎杖が死んだってときは知ってるはずなのに泣いちゃって…好きですありがとうございますオタクとか最高すぎん????????更新応援してるぜ!がんばってくだせぇ! (2022年10月6日 7時) (レス) @page27 id: ad117a8b13 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:くせらや | 作成日時:2022年8月26日 13時