幼馴染に騙されて呪術師になった限界オタク奇譚。【呪術廻戦】

35 オタク奇譚 ページ37

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それから始まった秘密の特訓は、なんとも奇妙なものだった。類い稀を見ない方法というか…でもやっていることに筋は通っている。


私が先生から託されたのは、若干可愛いクマと映画のDVD。以上だ。








「虎杖がやることは難しくないよ。
映画を観るだけ」


「？？それがなんか意味あんの？」


「どんな場面でも呪力を乱さない精神力だよ。五条先生もよく考えるよね〜〜」






因みに私ダニエル・ラドクリフ大好き、とどうでもいいことを言いながらカセットを入れる。
何やら後ろで「俺も頑張ったらダニエルに……？？」などとよくわからないことを言っているが、もしかして虎杖も好きなのだろうか。




カチッ、と音がして映像が流れ始める。
因みにポップコーンとコーラは回収済みだ。なぜって、さっき事故ったからさ、ははは。お陰で床はベチョベチョだったぜ。







《貴方って人は……!!!いつまでその女と遊び続ける気なの⁈》


《ち、違うんだセニョリーナ!!誤解だよ!》










「これはもう黒だよ黒。はあ〜〜〜なんで後悔するくせに浮気するの!」


「わかるわ……っあ!あの女でできイッッッッタイ!!!!!!」











虎杖は映画に感情移入するほど殴られてて可哀想。ごめんね、隣で普通に楽しんでて。

でも、最初よりは随分と良くなったと思う……多分。私も呪術素人だからわかんないけど!なんで私に任せたのかな夏油先生とか絶対暇じゃんあの人にしてよ。



まあ…そんな私から見ても、彼がセンスの塊というのは一目瞭然。







「ね、力んでるよ。もっとリラックスして、呪力の流れを感じてみて」



「ッス!!……って、むずいなあ」








そりゃそうだ。虎杖は術式持ってないんだもん、普通だったらわかるはずがない。



普通だったら(・・・・・・)ね。






「うおっ!なんかわかったかグエッッッ」


「呪力は一定にね」





あろうことか、虎杖はもう感覚を掴みつつある。天性の才能なのか、はたまた彼の並外れた運動神経が関係しているのかわからないが恐ろしい。



────純粋無垢な瞳と整った顔立ち、太陽みたいな笑顔をする根っからの善人、化け物みたいな運動神経と呪いの王の器。




「(駄目だこんな主人公みたいな人がいるなんてオタクには心苦しい)幸せになれよ虎杖…ッ!!!」


「え、俺死ぬの？？？それとも結婚すんの？？？」






もしかしてAが貰ってくれる？と、顔を染めながら呟く虎杖のことを私はまだ知らない。

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