30 オタク奇譚 ページ31
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「でも、しごきも交流会も意味ないと思ったら即やめるから」
「同じく」「同じく」
「ハッ」
「まぁ、こん位生意気な方がやり甲斐あるわな」
「おかか、明太子!」
「Aだけは逃がさないだってよ」
「あ、愛の告白……?!」
「アンタ、先輩らとどんな関係なのよ」
*
──1つ深呼吸をして、インターホンを鳴らした──
伏黒side
「自分達が現場についたときには、既に息子さんは亡くなっていました」
淡々と言葉が出てくる自分が心底嫌になる。
いきなり真っ黒の人物が家に押し寄せ、こんな話をし始めるなんて非常識だ。追い返されると思っていた。
しかし目の前の女性はただ、床を見つめている。
「正直自分は
でも仲間達は違います」
「成し得ませんでしたが、息子さんの生死を確認した後も遺体を持ち帰ろうとしたんです」
途端、出てくる3人の顔。
1人は根っからの善人だ。誰よりも助けようとした。自分の命を惜しまず、戦った。
1人は周りを見て助けるべき人間を判断した。呪術師として大切な判断力だ。
そしてもう1人は、自分の気持ちを抑えてでも仲間を導いた。仲間が道に迷わないように、死なないように諭した。
俺はあの時、なにができただろうか。
遺体を持ち帰る?特級と戦う?
そんなことを今から考えても仕方ない。
だから俺は、あの時俺がとった行動を後悔はしない。
────残念ながら遺体は 特級の生得領域と共に消滅してしまいました
そんな言葉を飲み込んで「せめて、これを」と去り際に取った作業服のネームプレートを渡した。
彼女の表情は、変わらなかった。
「────正さんを助けられず、申し訳ありませんでした」
深々と頭を下げたって、死んだ息子が帰ってくるわけじゃない。俺が頭を下げたって、死んだという事実は変わらない。
それまでぴくりとも表情を動かさなかった彼女が、泣いた。
微かな嗚咽と震える声に、耳が、心臓が、酷く痛かった。
「…いいの、謝らないで」
──あの子が死んで悲しむのは私だけですから
その言葉に、頭が上がらなかった。
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Kさん - 追記: 好きすぎて「ええやん!!」と叫んでしまって親に「煩い!とっとと寝ろ!」と怒られました....仕方ないだろぉ、最高なんだからこの小説、最高なんだから (7月11日 19時) (レス) id: 91d89c4fce (このIDを非表示/違反報告)
Kさん - めちゃ良い愛され具合.....もしかして小説書かれていますか?本を出版していらしやすか?めちゃ好きなので続き欲しいでやす!あと、受験生って同じですね。頑張りましょう (7月11日 19時) (レス) @page34 id: 91d89c4fce (このIDを非表示/違反報告)
くさ - 制服、下はほぼ足なのに上は野薔薇ちゃんと一緒で長袖なの良いですね…!!この小説大好きです!「終わり」になってますがまだ書く予定があるなら更新無理なく頑張ってください! (2022年12月27日 9時) (レス) @page32 id: 56aae56e91 (このIDを非表示/違反報告)
吹雪 - うっうっうっう(ないてる)好きすぎて、でも虎杖が死んだってときは知ってるはずなのに泣いちゃって…好きですありがとうございますオタクとか最高すぎん????????更新応援してるぜ!がんばってくだせぇ! (2022年10月6日 7時) (レス) @page27 id: ad117a8b13 (このIDを非表示/違反報告)
くせらや(プロフ) - アオちゃんさん» コメントありがとうございますめためた嬉しいです🥺🫰🏻🫰🏻神だなんて…読んでくださる読者様が私にとって神様のような存在です😭頭が上がりません…!!続きを楽しみにしていただいてとっても嬉しいです!更新頑張ります! (2022年9月28日 21時) (レス) id: befea80465 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くせらや | 作成日時:2022年8月26日 13時