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「北斗、なんでこんな所に?」





「あぁ、一応あの事件の目撃者だし、聴取受けてた。」







そっと覗くと、スーツを着た警察らしき人と、若くて背の高い男性が話していた。


親子だろうか。








「って言っても救急車呼んだだけだから力にはなれないと思うけど。




あぁ、あと亡くなった方とご遺族に挨拶を、」





あの時助けようとしてくれた方だったのか。
お礼を言わなきゃ、とドアに手をかけた時、耳に入ってきた言葉は衝撃的だった。





「そんなことはしなくていい。


巻き込まれたらお前も困るだろ。」





「親父、でも」





「いいから。今回の事件は結構めんどくさい所と絡んできてる。


あとはこっちで適当に処理するから、もうこの事件には関わるな。」









初めての感覚だった。

どくんと、心臓がはねた。







あの時救急車を呼んでくれた方に、

「関わるな」と、



私たちに挨拶をしに来てくれた方に、

「そんなことしなくていい」と、



母が亡くなったこの事件を

「適当に処理する」と、






そう言ったあの人を許せなかった。









毎日事件に囲まれて、人が亡くなることなんて慣れているのかもしれない。


自分の息子を巻き込みたくないのかもしれない。







それでも、私の大切な人の命に対して、「そんなこと」と言い放ったあの人を、


どうしても、許せなかった。









その後、ノックもしないで部屋に入ってきたその人は、







「どうも、お母さんが倒れる前の事からその後のことまで、詳しく話して貰えますか。」








感情のない目でそう言った。



























またひとつ、花火が上がって、遠くで歓声が聞こえる。







「周りの人からしたら、些細なことだと思います。

それでも、私はあの人が憎い。」







月明かりだけでは先生の表情はよく見えない。









「だから、私が大切な人を失って苦しんでいる気持ちを、あの人にも分からせたい。

そう、思ってしまいました。」









それでも、しっかりと目を合わせてくれていることだけは分かった。








「だから、先生、」




「萩野、覚えているよ」




「・・・え?」









「俺は君を追って、この学校へ赴任してきた」









「····っ」









「2年前のあの日を、一度も忘れたことは無い。」









先生は教科書の物語を音読するように話し始めた。

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ちーかま - 今更感満載ですが、めちゃめちゃ面白かったです!新作(いずれ、必然)の方も拝見させていただきまして、お恥ずかしながら泣いてしまいました。指輪とエンディミオンと始まりとエンドロールが特に胸がキュッてなりました。作者様の作品はどれも胸に染みますね...!! (2020年11月11日 3時) (レス) id: 8f9925b559 (このIDを非表示/違反報告)
ストスト - 指輪とエンディミオンの続編とかあったりしますか!?読みたいですー!! (2020年11月7日 17時) (レス) id: 2b49acbbc2 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモギ文庫(プロフ) - しろくまさん» 新作共々お世話になっております!嬉しい褒め言葉ありがとうございます(;_;)お気に入り作者までして頂いたなんて、気合を入れて頑張りますので今後もよろしくお願いします! (2020年5月9日 8時) (レス) id: 787b8d528e (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - ヨモギ文庫さんのいずれ、必然からこの作品を見つけ、読ませていただきました。ヨモギ文庫さんの言葉のチョイスや、表現方法が好きすぎます!笑、新作の更新も楽しみにしています(^^)また、お気に入り作者登録させていただきました!これからも応援しております! (2020年5月9日 5時) (レス) id: cd2866a268 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモギ文庫(プロフ) - 夏華さん» コメントありがとうございます。お気に入り作者までして頂けて嬉しいです!これからも夏華さんの性癖グサグサ出来るように頑張ります(;_;) (2020年4月27日 21時) (レス) id: 787b8d528e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ヨモギ文庫 | 作成日時:2020年1月20日 23時

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