分岐点 ページ5
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「なら北斗も一緒に食べたらいいじゃん、瀬谷も来るけど」
瀬谷って言うのは沙絵の名字。菓子パンを頬張りながらそう言うジェシーに
「いいじゃん、沙絵いい子だから心配しなくても大丈夫だよ」
と私も加担する。
「何、真宮さんは俺が瀬谷さんの事怖がってるとでも思ってるの？心外だな」
悪態をつきながらも自分の席に腰を下ろしてお弁当を開いた松村くんは、心無しか嫌では無さそうで、私も少し嬉しくなった。
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「そういえばジェシーと松村くんって仲良いの？お互い呼び捨てだし。男子ってそんなもん？」
今日の松村くんは1度も“ジェシー”と呼んでいないけど、いつだったかそう口にしている所を見かけた気がしてふと疑問に思った。
「んー、去年の体育祭のリハで俺から北斗にリレーのバトン繋ぐ練習してから話すようになった？」
「うん、ジェシーが話しかけてくれなかったら俺ら多分1位取れてないよ」
へえ〜と感心しながら、そういえば去年のうちのクラス、リレーだけはぶっちぎりで1位だったなと思い出す。そっか、あのアンカー松村くんだったのか。なんて失礼な事を思ったけど口に出す前に飲み込んだ。
「てかAは逆に何で今まで北斗と喋ったこと無かったの？」
不意にジェシーに聞かれて考えてみるけど、答えはひとつしかない。
「怖い人だと思ってたから？」
私が真顔で言うとジェシーのだっはー！と言う笑い声が教室に響いて、何故か周りの子達がつられて笑っている。
「真宮さんなかなか辛辣な事言うね」
どこかで聞いた事のあるセリフを苦笑いの松村くんが言うと、沙絵が戻ってきたから「おかえり」と声をかけてから私も手を合わせてお弁当を食べ始める。
「あれ、なんか珍しい顔がいるじゃん」とだけ言って、いつものように椅子を持ってきて私の隣に座る彼女は、やっぱり心地が良い大切な友人だ。
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何となく松村くんと話す事が増えたのはこの時からで、それからと言うものぼーっとしていた授業で当てられる度に机をトントン、と2回叩くと呆れた顔をしながらも何かしら助け舟を出してくれるようになった。
「あなたテストはいい点なのになんで授業は聞いてないのよ」と言われた事がある。
「だって授業中に松村くんの声聴けるなんて私だけの特権じゃん」とふざけて、いや、少しだけ本心も込めて言うと「本当にいい迷惑」と冷たく言われたけど一瞬頬が緩んだ様に見えたのは気の所為だろうか。
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fm - すごく引き込まれる文章、物語の構成でした。言葉選びも素敵であっという間に一気読みしました。高校生の頃のあの、焦ったい青春を思い出すことができました。ありがとうございました。 (2022年2月6日 11時) (
レス) @page49 id: fa24b69ff2 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモギ文庫(プロフ) - yanchahime3014さん» 初めまして！青い鳥まで来てくださって嬉しいです、ありがとうございます。優しいコメントをくださる主様が来世こそは｢好きで悪いかぁ｣されますように。 (2020年6月29日 22時) (レス) id: 787b8d528e (このIDを非表示/違反報告)
yanchahime3014(プロフ) - はじめまして。引き込まれて一気に読ませていただきました。そして、青い鳥のフォロー申請させていただきました。切なかったけど、幸せになってくれて本当に良かった。私も「好きで悪いかぁ」ってされたい人生でした。 (2020年6月28日 18時) (レス) id: 7c22139847 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモギ文庫(プロフ) - しろくまさん» 始まりとエンドロールにもコメントを下さってありがとうございました！泣いてしまっただなんて…しかも2週もして下さったなんて…もっとしちゃって下さい！(厚かましい)今後も楽しんでいただけるように頑張ります！ (2020年6月3日 0時) (レス) id: 787b8d528e (このIDを非表示/違反報告)
ヨモギ文庫(プロフ) - 杏奈さん» 最後までお付き合い頂きありがとうございました！おお！そのセリフがあってこそのこのお話だと思うので気付いて頂けて嬉しいです。もう少しですが是非お付き合い下さい！^^ (2020年6月3日 0時) (レス) id: 787b8d528e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヨモギ文庫 | 作成日時：2020年5月5日 13時
