Bubble ページ13
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前日の雨が嘘のようで、飲み込まれそうなくらいの青空が眩しい夏休み1日目。
昨日北斗と約束した花火大会は19時からで、30分前に現地集合でと決まっていた。
元々お昼すぎからファミレスで勉強をしようと4人のグループで話していたけれど、北斗には「そんな所じゃ集中出来ないからパス」と断られ、沙絵はバイトがあると言うので結局ジェシーと2人で行うことになった。
普段なら混んでいる休日のファミレスも、お昼時が過ぎているからか花火大会前だからか、いつもより空いていて気兼ねなく勉強が出来るからありがたい。
テキストを広げる私達に、店員さんも嫌な顔せずオーダーを通してくれた。
「Aさ、何かあったの？」
ドリンクバーを持って席に戻った途端口を開いたジェシーは、良い意味で遠慮がない。そんなに分かりやすいかな、私。
初めは迷ったけれど、北斗には言えなかった悩みも何故かジェシーになら言える気がして、母が連れてきたあの人の事と、この間の母の言葉を全て話した。
襲われそうになった事は、無駄な心配をかけたくないから話さなかったけれど、その人には他に女がいたことも、全部。
「なるほどねぇ」
全てを話終えるとジェシーは少し考えるような素振りを見せて、また「うーん」と唸った。
今までどんな悩みも打ち明ければポジティブな言葉で返してくれた彼がここまで考え込むなんて珍しい。
なんだか彼まで悩ませてしまっているようで申し訳無いな。
彼は難しい顔をしたままパチパチと炭酸の弾ける液体をストローで吸い上げると、口を開いた。
「Aは今、幸せ？」
なんの脈絡も無く、真剣な顔でそう行ってくる表情にいつものジェシーの面影は無くて、親身になって考えてくれたんだなと感じる。
「うん、幸せだよ、十分」
そう言ったけれど、昨日の雨の昇降口で自分の気持ちに気付いてしまった以上、今が一番幸せとは言いきれないかもしれない。
「そう、ならそれだけでも俺は嬉しいよ」
そう答えて満足そうに笑ってくれるジェシーになら、言ってしまってもいいだろうか。
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fm - すごく引き込まれる文章、物語の構成でした。言葉選びも素敵であっという間に一気読みしました。高校生の頃のあの、焦ったい青春を思い出すことができました。ありがとうございました。 (2022年2月6日 11時) (
レス) @page49 id: fa24b69ff2 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモギ文庫(プロフ) - yanchahime3014さん» 初めまして！青い鳥まで来てくださって嬉しいです、ありがとうございます。優しいコメントをくださる主様が来世こそは｢好きで悪いかぁ｣されますように。 (2020年6月29日 22時) (レス) id: 787b8d528e (このIDを非表示/違反報告)
yanchahime3014(プロフ) - はじめまして。引き込まれて一気に読ませていただきました。そして、青い鳥のフォロー申請させていただきました。切なかったけど、幸せになってくれて本当に良かった。私も「好きで悪いかぁ」ってされたい人生でした。 (2020年6月28日 18時) (レス) id: 7c22139847 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモギ文庫(プロフ) - しろくまさん» 始まりとエンドロールにもコメントを下さってありがとうございました！泣いてしまっただなんて…しかも2週もして下さったなんて…もっとしちゃって下さい！(厚かましい)今後も楽しんでいただけるように頑張ります！ (2020年6月3日 0時) (レス) id: 787b8d528e (このIDを非表示/違反報告)
ヨモギ文庫(プロフ) - 杏奈さん» 最後までお付き合い頂きありがとうございました！おお！そのセリフがあってこそのこのお話だと思うので気付いて頂けて嬉しいです。もう少しですが是非お付き合い下さい！^^ (2020年6月3日 0時) (レス) id: 787b8d528e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヨモギ文庫 | 作成日時：2020年5月5日 13時
