楽観 ページ9
「引子さん、帰りました」
「お帰りなさい、Aくん！今日は早いね」
洗濯物を抱えながらこちらを振り返り迎えてくれる。そんな様子に温かいものを感じながらもカーディガンを椅子にかけた。
「えぇまあ…あ、今日は僕が作りますよ」
「じゃあお願いしようかな…！」
水色のエプロンを棚から取り出し、髪も緩く一つにまとめる。
何を作ろうか？カレーは定番すぎるし引子さんに負ける自信があるから…
ぼんやりと考え事をしながら手を動かし始める。
出久が帰ってきたのは、ちょうど副菜のサラダが盛り終わったあたりだった。
＿＿＿＿＿
引子は出来上がった料理を見るなり感嘆の声を漏らした
「わ、綺麗なオムライス」
「少し張り切っちゃいました」
可愛らしくもケチャップで描かれたハートのオムライスが二つ並んでいる。
「あれ…なんか僕の分かかってないような…」
「出久さんの好みがわからなかったので。お好きな量、ご自分でかけてくださいね」
無言で手を動かし行儀良く食べ切ると、自身の皿だけ洗い部屋へと向かう。
「Aくん、ご飯ありがとうね！すごく美味しいよ」
「どういたしまして。よかったです」
ほとんど出久と会話をしないままリビングを後にした。
＿＿＿＿＿
出久に変化があったのはそれから数日後
突然家の外へ出ることが格段に増えた従兄弟に不信感を抱き、調べようと人を使っても途中で撒かれてしまう。
「バックに誰かついてるのかな…」
追跡役にあてがった人間が申し訳なさそうにその場を離れた後、Aは情報をあれこれ組み合わせて考え事をしていた。
彼にはいくつかの説が浮かんでいた。
一つ、何らかの組織がついていてそれらと組んでいる可能性
一つ、個人で動き人を使って撒いている可能性
一つ、そもそもこれ自体が杞憂という可能性
並べれば誰かと組んでいる、または共謀していると言う可能性が最も高いのは一目瞭然だ。
以前食事メニューの希望を引子さんに出していたので何もない可能性は限りなく低い。…極小確率で筋トレに目覚めたという説もあるが、あの内気メガネに限ってそれはないだろう
と、若干失礼なことを考えながら酸味の強くなってしまったストレートのコーヒーを口に運ぶ。
「探れるところまで探らなくちゃね」
そう呟く彼の口は愉しげに弧を描いていた。
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ravito - rusiさん» 素敵なコメントありがとうございます！不定期に書いてゆくのでどうぞ気長にお待ちくださいませ (11月23日 22時) (
レス) id: cfaa3a420e (このIDを非表示/違反報告)
rusi - 自分の感情含めてコントロールできる夢主くんの方がその点有利かな、という印象もあります。長文失礼しました、今後の物語も楽しみに読ませていただきます！ (7月29日 18時) (レス) id: 0702b91315 (このIDを非表示/違反報告)
rusi - とっても面白かったです！夢主くんの性格、甘い雰囲気と冷徹さの両面が素敵でした。個人的に、公式で周囲の掌握が上手い物間くん（拳藤さんが居なければB組全員を取り込んでいた人）とどんな関係になるか気になります。ただ物間くんは煽りという悪癖があるため、 (7月29日 18時) (レス) id: 0702b91315 (このIDを非表示/違反報告)
アンパン - すごく好き……こういう男主すきです……これからも楽しく読ませていただきます…！！ (7月29日 17時) (レス) @page7 id: a3ef485205 (このIDを非表示/違反報告)
テア(プロフ) - 面白かったです！こういう主人公の性格好きです。ここからどうなっていくのか楽しみにしています！ (7月29日 10時) (レス) @page7 id: caf8ce4f45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ravito | 作成日時：2023年4月29日 21時
