魔 ページ15
僕は柔らかい人になりたかった。僕は優しい人になりたかった
…僕は、暖かい人になりたかった
「…ｯは、ぁ？朝か」
カーテンから漏れる日差しに目を細めて、上半身を起こしぐっ、と伸びをする。
ほとんどズレていない布団が足に被さっていたのでそれを眺めていると、今日が何の日かを思い出した。
「……受かってたんだよね。出久さん」
いまだにドッキリか何かだと信じたいが、あの日は本当にお祭り騒ぎだった。引子さんがずっとハイテンションで、出久さんもいつもより感情がぐちゃぐちゃした顔をしていたのをよく覚えている。
事前に届いていた制服をサッと着て、一回り
やっぱり僕には似合わないなぁ、なんて思って。買っておいた淡いミルクティー色のセーターベストを着て、その上からブレザーを被る。
初日くらいはブレザーいるよね
「行ってきます。引子さん」
「いってらっしゃいAくん。制服、似合ってるよ！かっこいい！」
「……はい」
いつも通り、涼しい顔をしてありがとうございますとでも返せばよかったのに。
なんだか照れくさくて微笑むのが精一杯だ
引子さんは、本当にいい人だな
＿＿＿＿＿＿＿
足早に学校へ向かう。
そんなに急いで行かなくてもいいんじゃない？
足元の黒猫がそう言いたげにこちらを見上げてきた。
…いやこれは断じて彼の妄想ではない。僕の個性の副産物のようなものだ。
「動物と会話ができる？強い！」とでも思うだろうか。否、そのような万能個性ではない
サキュバスやインキュバスなどの夢魔。その"魔"の一部で、ある意味Aの分身だ。気まぐれで、いたりいなかったりする猫のような悪魔。
そいつと言葉を交わし続けているとガラス張りの校舎が見えてきた。
相変わらず首が痛くなるほど高くて、入試とは違う気持ちで門をくぐった。
続く
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ravito - rusiさん» 素敵なコメントありがとうございます！不定期に書いてゆくのでどうぞ気長にお待ちくださいませ (11月23日 22時) (
レス) id: cfaa3a420e (このIDを非表示/違反報告)
rusi - 自分の感情含めてコントロールできる夢主くんの方がその点有利かな、という印象もあります。長文失礼しました、今後の物語も楽しみに読ませていただきます！ (7月29日 18時) (レス) id: 0702b91315 (このIDを非表示/違反報告)
rusi - とっても面白かったです！夢主くんの性格、甘い雰囲気と冷徹さの両面が素敵でした。個人的に、公式で周囲の掌握が上手い物間くん（拳藤さんが居なければB組全員を取り込んでいた人）とどんな関係になるか気になります。ただ物間くんは煽りという悪癖があるため、 (7月29日 18時) (レス) id: 0702b91315 (このIDを非表示/違反報告)
アンパン - すごく好き……こういう男主すきです……これからも楽しく読ませていただきます…！！ (7月29日 17時) (レス) @page7 id: a3ef485205 (このIDを非表示/違反報告)
テア(プロフ) - 面白かったです！こういう主人公の性格好きです。ここからどうなっていくのか楽しみにしています！ (7月29日 10時) (レス) @page7 id: caf8ce4f45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ravito | 作成日時：2023年4月29日 21時
