実技の不透明 ページ12
「プリントには四種のヴィランが記載されております。誤載であれば、日本最高峰たる雄英において恥ずべき痴態！我々受験者は規範となるヒーローのご指導を求めてこの場に…」
苦手。
彼を見てAは直感的に己の価値観とは合わないのだろうと悟った。こう言うタイプはそう…いうなら緑谷出久に似ている。不正や人が傷つくのを良しとせず、見ないふりをした方が良い場合でさえ見逃せない。自分のしていることを否定されそうなこの人種が、Aは密かに苦手であった。
言うなれば真っ向からの正義面
…いつだったか、ある女性に声をかけられカフェに誘われたので、なんだいつものパターンかとついて行ってあげれば説教を食らったと言う記憶がある。「自分を大切にしろ」だの「親御さんが心配する」だのと、何も知らないくせによくもまぁズケズケと言えたものだ。というよりカフェなんかへ連れ込んでおいて言えたセリフかと珍しく冷たく突き放したのを記憶している。
と、関係のない記憶を思い出していると覚えのある容姿を指摘され、途端に現実へ戻される
「ついでにそこの縮毛の君！先程からボソボソと気が散る！物見遊山のつもりなら即刻ここから去りたまえ」
「すみません…」
知らない人に注意されても萎縮してしまうようで、というかその癖はずっと昔から変わらずにオドオドする従兄弟を怪訝そうにAは見つめる。
「オーケーオーケー、受験番号7111くん、ナイスなお便りサンキューな！四種目のヴィランは0P、そいつは言わばお邪魔虫。各会場に所狭しと大暴れしている“ギミック”よ。倒せないことはないが倒しても意味はない。リスナーにはうまく避けることをお薦めするぜ」
試験の内容があまり見えない。Aはそう感じた
避けろだ倒せだ言われようともここにいる人の大半はそれほど大規模に個性を使ってこなかっただろう
ロボになど通用するのか？
「俺からは以上だ。最後にリスナーへ我が校校訓をプレゼントしよう。かの英雄ナポレオン＝ボナパルトは言った。“真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者”と。更に向こうへ！プルスウルトラ！」
「くだらない」
またも小さく溢れでた自分の言葉。
「……」
誰かに気づかれたいだなんて馬鹿な思いを心のうちにしまい込んで、出久とは目も合わせず試験会場へと足を進めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 103人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ravito - rusiさん» 素敵なコメントありがとうございます！不定期に書いてゆくのでどうぞ気長にお待ちくださいませ (11月23日 22時) (
レス) id: cfaa3a420e (このIDを非表示/違反報告)
rusi - 自分の感情含めてコントロールできる夢主くんの方がその点有利かな、という印象もあります。長文失礼しました、今後の物語も楽しみに読ませていただきます！ (7月29日 18時) (レス) id: 0702b91315 (このIDを非表示/違反報告)
rusi - とっても面白かったです！夢主くんの性格、甘い雰囲気と冷徹さの両面が素敵でした。個人的に、公式で周囲の掌握が上手い物間くん（拳藤さんが居なければB組全員を取り込んでいた人）とどんな関係になるか気になります。ただ物間くんは煽りという悪癖があるため、 (7月29日 18時) (レス) id: 0702b91315 (このIDを非表示/違反報告)
アンパン - すごく好き……こういう男主すきです……これからも楽しく読ませていただきます…！！ (7月29日 17時) (レス) @page7 id: a3ef485205 (このIDを非表示/違反報告)
テア(プロフ) - 面白かったです！こういう主人公の性格好きです。ここからどうなっていくのか楽しみにしています！ (7月29日 10時) (レス) @page7 id: caf8ce4f45 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ravito | 作成日時：2023年4月29日 21時
