rubrum amor (ページ6)

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嬉ページ6

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ベテランの講師の人達の多くはそのまま帰って行って
他教室も含め新人達が残って説明会

基本的に当たり前のことを話し合うだけだったんだけど

嬉しいことが1つあった。

研修後、授業の為に机を並べ直してる時

「そういえば、1年浪人してる子がいるって聞いたけど」

エリアマネージャーっていうちょっとかっこいい肩書きの人がポロッと零した言葉。

あ、私か。って思う前に

「そうです、期待の新人！」

うちの教室長が自慢げに私の方を向いて声を上げた。

「うちにもね、いるんですよ」

この先生、って出てきたのは小柄で可愛らしくて
スーツ着慣れてないんだろうな～って思うようなちょっとオドオドしてるような感じの人

どうやら、私と同じく一浪で講師になったみたい。

なんとなく、ちょっと話してみなよみたいな雰囲気が漂って、話して。話がめちゃめちゃ盛り上がるわけでもなかったし、特に何かLINE交換しよ！みたいな軽いノリの場でもなかったからそのまま終わったんだけど

同じ一浪の人がいるのも嬉しいのに
同じ塾講師のバイトを選んで頑張ろうって同じ気持ちの人がいるのも嬉しくて

帰ったら父親とか母親に話そう！って決めて
今日の夜ご飯何かな～なんて
気付いたら呑気なことを考えるくらいリラックスしてた。

帰りは教室長の車に乗っけてもらって

そこそこに盛り上がった雰囲気で家に到着。
深く頭を下げてマンション3階の自宅へ。

そこで、思い出したようにポケットを漁って
貰ったパイン飴の袋を開いて口の中に放り込む。

行きの電車で、櫻井先生が喋りかけてくれたこと
帰り際に同じ境遇の子に出会えたこと

明日はもっといいことあるといいなぁなん考えて。

今日はありがとうございました、って櫻井先生にメッセージをしたら、

これからよろしくね、ってあっさりした文と
可愛い犬のスタンプが送られてきて

意味の分からない対抗心で
こちらこそ、の後に猫のスタンプを送った。