rubrum amor (ページ2)

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飴と鞭ページ2

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「合格したら飯行こ」

呪文みたいな化学の問題とのにらめっこに飽きて小さく溜息をついたら

呆れたみたいに笑った。

「2人で？」

「別に、他誘ってもいいし誘わなくてもいいし」

「何食べるの？」

「それはその時決めりゃいいじゃない」

中学校3年の頃から、4年目の付き合いになる。

関係性は、塾講師とその受け持ちの生徒
それ以上でもそれ以下でもない

ひいきされてるとも感じないし
変な距離感も感じない

私が目指す大学の、4年生。(学部と校舎は別)

授業中はちゃんと先生と生徒をやってるけど
授業が終わって余裕があったりすると、恋バナなり何なりを話したりもする

まぁ、表向きは先生であり先輩だけど、
友達みたいになりたいなぁと思ったりしているこの頃

「それ、私が受かったらの話じゃん」

「当たり前じゃん？何お前、受かってもないのに奢ってもらおうとか思ってんの、最近の女子は怖いね～」

「じゃあ無理じゃん、私行けない」

「なんでよ、いけるでしょAさんなら」

「無理」

「ぶーぶー言ってないでこの問題解いて、終わったら声掛けて」

「...ハーイ...」

黒縁眼鏡がトレードマークで
頭が良くて、背が高そうな顔をしてて
優しそうで、ちょっと意地が悪い

多分だけど運動神経もそこそこある。話を聞く限りだけど。

そして何より生徒を鼓舞させるのがうますぎる。

ちょっと嬉しくなるような、ウキウキしちゃうような、ことを言って「ほら勉強しよ」って付け加えれば完璧

それは別に私が特別な感情を抱いてて、単純で、ちょろい奴って訳じゃなくて

アメとムチの使い分け方が上手くて
それに上手い具合に翻弄されてるって感じで

「...できた、」

「どれどれ...お、いーじゃん、最近ここ得意になってきた？」

「櫻井先生に洗脳されたから」

「おいお前、人聞きの悪いこと言うなって」

まぁ、いい感じに転がされてるってのが1番正しい表現かもしれない。

よくできました、って笑う横顔はずるいくらいに綺麗で

先生顔交換してよって言ったらお前何言ってんの？って笑われた。

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