日常 ページ1
不穏な空気のリビング
ここにいるのは
母親と私の二人だけ。
『あんたなんか、産むんじゃなかった』
はぁ…また始まった、最悪…。
母親は機嫌が悪いと、いつも私に当たる。
腹が立つのを通り越して、もう何も感じない。
ただ、ぼーっと俯いて親が鎮まるのを待つだけの私。
まぁでも、今日は父親がいないだけマシかな…
『何か言いなさいよ!!』
…言ったら言ったでキレるくせに。
無気力に母親の方を見ると、カッターを持って、刃を出したり引っ込めたりカチカチ鳴らしてる。
あ〜…嫌な予感がする
これは、やられるヤツだ
「ママ、?」
『あんたなんか死ねばいいのに』
『あんたさえ居なければ…』
「ねぇ、やめてよっ…危ない、」
『うるさい!!!!!!』
「イッッ……、」
痛みを感じたところを見ると、赤黒く滴る血液。
いつからだろう…
自分の血が流れるのを見ても
何も思わなくなったのは。
クラクラする
このまま死んでもいいのにな
でもこの感じは、死なないパターンだなぁ…
倒れた私の上を跨いで、車の鍵を持って
何食わぬ顔で家を出て行く母親を横目に
ポッケからiPhoneを取り出し、ホーム画面を開いた。
そこには、大好きな壱馬くんの笑顔。
アーティストだけど
遠い存在だけど
住む世界の違う人だけど
唯一、私を優しく照らしてくれる人。
「うぅっ…、」
母親に切り付けられても、罵声を浴びせられても
父親に暴力を振るわれても、部屋に閉じ込められても
何されても、私は泣かない。
でも
壱馬くんを見た時だけは
どうしても、涙が出てくるんだ…
なんでだろうか
わからない、わからないけど
一番、素直な自分になれる気がするの。
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作者名:M | 作成日時:2021年5月13日 21時