2 ページ2
朦朧とした意識の中、どこからか声が2つ聞こえた。
「───でね、とりあえず身元は分かったんだけど、やっぱり相談した方がいいよね？」
「まぁ、そうだろうな。勝手に連れ込んでる訳だし。」
聞き覚えのある声。何度も聞いた声。もしかして…
「ChroNoiR！？」
勢いよく起き上がると、3台並べられたパイプ椅子は、ギシギシと音を立てた。その音に気づいてか、その部屋にいた5名は、こちらに振り返った。声の主は、銀髪の男と茶髪の男だった。
「あ、起きたんだね。Aさん」
茶髪の男が話しかけてくる。ふわふわとした印象でまるで天使のようだ。いや、天使なのかもしれない。後光を感じる。
「あんたの事は上に報告してあるから。もう少し休んでな。」
銀髪の男は、心配そうに赤い瞳をこちらに向ける。怪しい光を帯びたそれは、とても魅力的で、白い肌と相まって、美しく妖艶さを漂わせていた。
「本物…ですか…？」
目の前の光景が信じられず、声を振り絞った。
「本物の、葛葉さんと叶さんですか！？」
私は、2人の名前を知っていた。私の憧れであり、目標であり、超えるべき壁だったからだ。
2人が困ったように顔を見合せていると、眼鏡をかけた黒髪の男がこちらへ歩いてきた。
「2人とも人気者じゃん。良かったなぁ。」
笑みを浮かべて近づいてくる彼も、私は知っていた。
「やしきず…さん！？奥にいるのはドーラさんに本間ひまわりさんですか！？」
社さんな、と訂正しながら、彼は優しく微笑みかけた。赤い鱗の輝く尾を揺らしながらドーラはひまわりと何かを話している。
「もしかして、ファンだからここまで押しかけてきたんですか？」
叶は、困った表情でこちらを見つめる。私は、大きく横に首を振った。そんな事のために来るほど、迷惑な奴じゃない。
「たまたま、通りかかったんです。家出をしたものの、行くあてもなくて…。元々、バーチャルライバーに興味があって、にじさんじにも応募したことがあったので、それを懐かしんでたら体力に限界が来ちゃったみたいで。ご迷惑をおかけしました。」
頭を下げると、扉からノックが聞こえた。ドーラがはい、と返事をするとそこに現れたのはいちからの社長だった。
「なるほどね。行くあてがないと。」
ご迷惑お掛けして申し訳ありません、と私が再び頭を下げるのに対し、彼は「謝ることは無いよ。」と優しい声色で話してくれた。
「君にライバーとしての才能があれば、うちでライバーになる代わりに、誰かの家の居候にならないかい？」
元気をくれるライバー
りりむ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 84人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夢見る蛍(プロフ) - ひすいさん» ありがとうございます！！！ (2020年8月22日 12時) (
レス) id: 2b7812a210 (このIDを非表示/違反報告)
ひすい(プロフ) - 読み終わりました！参加ありがとうございます！ (2020年8月22日 12時) (レス) id: 13e26514b2 (このIDを非表示/違反報告)
夢見る蛍(プロフ) - あきさん» コメントありがとうございます！ｵﾘｼﾞﾅﾙﾌﾗｸﾞ外しました！教えていただき感謝です…！これからも応援よろしくお願いします。 (2020年8月17日 17時) (レス) id: 2b7812a210 (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - ｵﾘｼﾞﾅﾙﾌﾗｸﾞを外しましょう、違反になってしまい、低評価が入ってしまいますよ……！文はとても好きです、応援しています！ (2020年8月17日 16時) (レス) id: f9bd0e9f58 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夢見る蛍 | 作成日時：2020年8月17日 15時
