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『……でも、』


「いいから、ほらよォ」



「俺が聞きたいだけだァ」と続けて言った不死川さんに、私の心は少し溶かされた気がして口を開けた。




想い人は幼い頃に私の家族を殺した元忍であること。

それからその人と一年共に暮らしたものの、彼に頼りきりなのが申し訳なく思い何も告げずにここへ来たこと。

彼が私を探し出して、再会したこと。

ここで何度も、彼と愛し合ったこと。



…そして、先日別れを告げたこと。





全て話してしまった。



あれからもう結構な月日が経ったはずなのに、
話せば話すほどに瞳からは涙が零れ落ちた。





「…そうかィ」



話し終わったあと、不死川さんはそれだけ言って
私の方へ向き直った。



『…ごめんなさい、泣くだなんてみっともないですよね』


「んなことねェよ」



とても優しい瞳は、私だけを真っ直ぐに映していて
目が逸らせなかった。
そのまま彼の手は私の頬へと伸びてきて、溢れた涙を優しく掬う。その手は、とても冷たくて。

泣きはらして熱くなった頬には心地よかった。

















「よっぽど惚れてたんだろォ?

いいじゃねェか、そんな奴に出逢えて」




そう、言った不死川さんはまだ何か言い足りなさそうで思わず身を乗り出し、彼の手を握った。


“まだ他に、言いたいことがあるんでしょう?”


という思いを込めて。







陸→←肆



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kiki11241(プロフ) - 天元オチはないのか( º言º) (2021年5月12日 14時) (レス) id: 3664f0360e (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - 音柱編も好きだったけど、風柱編の方が好きでした(^^) (2021年5月12日 14時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - ド悶絶だわよ!!! (2021年5月11日 23時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
奏海(プロフ) - 柚葉さん» 男前な実弥さんに悶絶してくれたようで嬉しいっ! (2021年5月11日 22時) (レス) id: d291d10447 (このIDを非表示/違反報告)
奏海(プロフ) - 環さん» たまちゃんいつも褒めてくれる…っ!語彙力無くせたのが私としては嬉しいぜっ!!私もラヴ (2021年5月11日 22時) (レス) id: d291d10447 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:奏海 | 作成日時:2021年5月5日 19時

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