天然タラシだよ？安吾さん!!その６

Morte alla Francia ltalia anela!! ページ10

Morte alla Francia ltalia anela

こんな時にシチリアワインを買いに来たのは運命なのだろうか。

｢う…動くな!!動いたら撃つぞ!!｣

こめかみに銃口を当てられながらふとそんなことを考える。

目の前では視線が大体同じくらいの青年が

｢テメェここがうちの領域(シマ)だと知っててやってんのか。それでなくてもここは俺の気に入りなんだよ｣

と青筋を立てている。

｢う…うるさい!!兎に角、ここで一番良い酒と有り金寄越せ…っ｣

私を抱えている男は先程から切羽詰まった声で脅している合間にチラチラと時計を確認しており、青年も勘付いているのか後手に回っている。

おそらくここで時間を食えば後々厄介な附けがくるだろう。

幸か不幸か休日のプライベートな時間を割くのは痛いが今はガウチョにフラットなシューズという身軽な私服。

私は動くことした。

｢付かぬ事を伺いますが…その銃ひょっとしてコルト・パイソンでは？｣

｢…はぁ!?コ…コル…!?｣

｢えぇ。老舗コルトが３５７magnum弾を発射できる銃として世に放ったコブラに続く名銃ですよ！いやぁこんなところでお目にかかるとは…。私映画ですっかりコルト製のリボルバーに魅せられてしまいまして…こんな状況ですが感激しております｣

｢あ…ああ!?なに言ってんのかよくわかんねぇよ!!お前人質だろ!?黙ってろ!!｣

｢まぁまぁ、これはあなたにも良い話なんですよ？この銃はファンが多いのでここでお金を巻き上げるよりずっと良いお金になりますよ｣

｢……な!?｣

男が動揺したのをいいことに躊躇いもなく撃鉄の起きていない銃の口へ指を突っ込んだ。

｢さて問題です。１９５６年に発売された骨董品でもあり、ロクな安全装置もないこの銃の口を塞いだ状態で発砲すると…どうなるでしょう？｣

生唾を飲み込みゴクリと喉が鳴るのをじっと見詰める。

｢…ど…どうって…!?｣

最早軸もぶれぶれな瞳孔に思わずくすりとくればどちらが悪役なのかもわからない。

｢“暴発”するんですよ。そうなると折角の美術価値が損なわれるので銃を売って金にするという手段は完全に消えますね。最悪あなたの腕はズタズタになるでしょう。さぁ…それでも私に向けてこの銃を撃ちますか？｣

｢ひ…ひぃぃぃいい｣

男は完全に恐怖に屈した。

怯んだ隙に咄嗟にシリンダーを掴み固定すると忽ちその横面を長い足が弾く。

Morte alla Francia ltalia anela!!→←手で掬える程度の土でも外堀は埋まる

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