天然タラシだよ？安吾さん!!その６

Morte alla Francia ltalia anela!! ページ17

同意だ。

非正統を名乗る者としてこいつの親玉のやり方は強かだが品がねぇ。

ましてや、ヤクと関わりを持つなんざぁ風上にも置けねぇ。

相変わらず憔悴しきった表情だったが足元ではっと息を飲む音がする。

今更だろうとは思ったが、どこかでほっとしたのは事実だ。

ヤクもそれに纏わる悪行も誰も守らないし救わない。

マフィアという言葉は名であり戒めだ。

自分は少なくともその戒めが生きた組織にいて、踏み違えてはいない。

とはいえこいつもこいつなりに思うところがあったのだろう。

事態を飲み込む腹を据え、新進気鋭を気取った組織の名前と、元々うちが追っていたヤクの輸入・運び業者の名前を時折詰まらせながらポツポツと吐いた。

｢……ったく。新参者はこれだからいけねぇ｣

同時に男が“死んでやる”と吠えた途端、深い知識をもってこれを諫めた女の清浄な怒りに“あてられた”自分を嘲った。


―――――――――――――――


｢あんなイイ女、まさかテメェの“スケ”なんて言わねぇよな｣

｢……渡しませんよ｣

｢…チッ、色男気取りやがって。あぁ勿体ねぇ｣

｢何をしたんですか、彼女｣

｢うるせえ。早く捨てられろ｣

｢……はぁ、そもそも彼女はうちのエージェントです。あなたがどれだけ欲しても全力で阻止しますよ｣

｢フン、上等だ。今度会ったら俺の知ってるテメェの女歴をとっぷり語ってやるよ。精々脅えてろ｣

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