十話 ページ11
長い撮影時間が終わり、サリバンは『イフリート夫妻♡』とピンクのデコ文字で表紙に書いてあるアルバムに写真をしまった。写真の一部はエイトにも渡される。終わると同時に降ろされたルティフィは見事なカーテシーを披露する。
『ごきげんよう、サリバン様。この度は何事もなくバビルスに入学出来たことをご報告にまいりました。また、お孫様のご入学おめでとうございます』
「うんうん、ありがとう。ルティフィちゃんも入試三位での入学おめでとう!」
『ありがとうございます』
「あ、これ入学祝いね!!……君の目を隠すためのものでもあるから、理由無く外しちゃダメだよ」
『……心より感謝申し上げます』
その入学祝いは顔上半分にのみ認識阻害の効果を発揮する、顔の上半分を隠す白い面布だ。四つ角にはそれぞれエイトの印を十字に分けた紫の刺繍が施されている。
「この刺繍はね、オペラがやってくれたんだよ〜」
『凄いです……。オペラ様、ありがとうございます』
「どういたしまして」
『旦那様、着けてくださいますか?』
「もちろん」
面布を受け取ると後ろにまわり、エイトは絶妙な力加減で面布を着ける。着け終わるとくるっと回ったルティフィの異様に整った顔が見えなくてかなり残念に思ってしまうエイト。そんな心境を察したルティフィは思いっきり背中に手を回して抱きついた。
『これから先、私が面布を外すのは旦那様と二人っきりの時だけです。それ以外で外す際は必ず旦那様の許可を取ります。これからの私の顔を知っいるのは、旦那様だけがいいです』
「〜〜っ、僕のティフィ。キミは本当に僕が嬉しくなることしか言わないね」
『私の旦那様への言葉には何一つ、嘘偽りは御座いません』
「うん、知ってる。だからこそタチが悪い」
『……ダメでしょうか』
「いや全然。もっと愛を伝えてくれていいよ。僕もそれ以上の愛を返すからね」
『…………はい』
サリバンとオペラは自分達の存在を忘れて二人だけの世界に入り込んだのを咎めることなく、むしろ動画を撮って楽しんでいる。暫くして正気に戻ったエイトは何度もサリバンに謝罪して、ずっと抱きついているルティフィを連れて部屋を退出した。
「本当に、ラブラブだねぇ〜」
「えぇ」
「……二人の愛が深まるとルティフィちゃんはさらに元祖返りとして強くなっていくけど、それにイフリート先生は気づいているのかな?」
「おそらく、気付いておられるかと」
52人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無し - めちゃくちゃ好きです!!!!!!!!!!!!!更新頑張ってください! (4月28日 11時) (レス) id: fc92663274 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:暇潰し | 作成日時:2024年3月10日 22時