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「なぁA……」
「は、はい!」


そ、そんな明るい声で返事しないで。ごめん、本当に俺Aが好きとかそういう理由で抱いたわけじゃない。この先になにかを求められたら大変困る。


「ごめん俺記憶飛んでんだけどAに酷いことした…?」
「い、いえ!優しかったです!」


優しいとか優しくねえとかそういう問題でもない。

酷いこと。つまりヤったかヤってねえかの最終確認のつもりだったんだけど。Aの照れた反応的に、つーかお互い裸な時点で、確実に、やることやりましたね。

あのねえAちゃんいくら好きでも付き合う前にそういうことしたらだめなんだぜ。恋人同士になる前にそういうことしようとする男は地雷なんだぜ、クズなんだぜ。……今なにを言っても全部自分に返ってくるから辛え。

あんまり俺があからさまに沈んでるからか、Aはなにを思ったか、


「ほ、ほんとですよ?はじめてでも痛くなかったです」


と言ってはにかんだ。

……あれ今なんつったこいつ。


「はじめて…?」
「恥ずかしながら」
「まじ?」
「はい」


………

それは割と万死に値するじゃん。俺が。

なぜか嬉しそうにしているAの姿が俺の罪悪感を煽る。だってぜってーヤったら付き合えると思ってるだろ。逆だよ逆。付き合う前にヤったら付き合えねんだよ。恋人という特別な価値が下がるから付き合う前にヤったらだめなんだよ。

今の俺がいうこと全て説得力もクソもない。でもなあだって、Aのこと後輩として友人として大事に思ってる。だからこそ罪悪感に押し潰されそうなんだわ。

俺のAへの気持ちが、1回の飲み会で全部崩れた。もう俺は死ぬまでクズのレッテル貼って生きるか、責任とってAと付き合うかの2択。どうすればいい?まじで。

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作者名:休暇 | 作成日時:2019年9月7日 20時

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