▽夏終わる/izw ページ1
夏終わるのに夏っぽいことなんもしてないって思って、暇そうにしてた伊沢を拉致ってコンビニ。
「何買ったの?」
「三ツ矢」
「炭酸かぁ私苦手なんだよなぁ」
あれパチパチしてのど痛くない?
だから私はレモンのシャリシャリのアイス買ったおいしい。あと線香花火も買った。
線香花火買ったのはいいけど、この辺花火する場所なくね?って気づいた。夏っぽいことしたかったのになぁ。
「最悪ベランダでやればいっか」
「なにを?」
「線香花火」
「は?ばか?」
アパート燃えるぞって怒られた。そりゃそうだ。
でもまじで夏っぽいこと何もしてない。海も夏祭りも花火大会もなにも経験してない。せっかくの大学1年目の夏なのに、なんもイベント起こしてない。
「別にいいじゃん何もなくても」
「そういう伊沢は夏っぽいことした?」
「サークルでキャンプ行った」
「うわ!いいな!」
「でもそんくらいだわ」
「私も夏っぽいことしたいよ」
なにがなんでも線香花火したいという気持ちが強くなって携帯でこの辺で花火できる場所があるか調べる。結果、ない。
えーまじか。私の地元だとやり放題なのに。家の前とか河原とか公園とかいくらでも場所あるのに、都会はせめぇな。
「花火可の公園あるけど、電車つかんないと行けないじゃん…」
「終電まにあんねえだろ」
「やっぱりベランダ…?」
「下手すればまじで放火魔だぞ?」
それなぁ。まだ捕まりたくないよ。
「よく考えてみろよ、ダル着でアイス食いながらコンビニ前でたむろしてる時点で十分夏っぽくね?」
「夏っぽい…ってか田舎のヤンキーっぽい」
「東大生のすることじゃねえよな」
伊沢氏、苦笑。
でもなんだかんだ言いながら私の頭悪いムーブに付き合ってくれるからいいやつだわ。
「大人しくそろそろ帰る?」
「線香花火は?」
「次でいっか」
「あっという間に秋くるぞ」
「秋でいっか」
「はぁ?」
伊沢氏、再び苦笑。
わりとね私伊沢に苦笑されるの好き。「Aばかだなぁ」って笑う伊沢嫌いじゃないよ。なんでだろう。
「線香花火するっつったら相手してくれるでしょ?」
「うんまぁ。暇だったらな」
「じゃあアイス食ったら帰ろ」
「うん」
「一口食う?」
「俺はいいや」
「いいんかい」
もう9月だわ。
夏終わる。
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作者名:休暇 | 作成日時:2019年9月7日 20時