憧れ ＊ ページ28
ざっざっと道を歩く。
私達妖怪が住んでいる所は薄暗い森の奥だった。
そこにはたくさんの妖怪がいる。
「おゥチビ九尾。てめェはよくどっかいくよなァ。」
急に現れたな。
上からぷらーんとぶら下がってるこの阿呆は猫又。
…私と年齢は同じぐらいだがアイツの方が身長が大きい。
猫又はすぐ成長する。
おかげでちょっと前には小さかった猫又が今ではこんなに大きくなることだって可笑しくはない。
それに対して、我々九尾は成長が遅い。
私は400年以上生きているが、まだ体は人間で言う小学生くらいの子供だ。
その低身長のせいでこの同い年の猫又にもチビ呼ばわりされている。
「…いっつもどこかをほっつき回ってるあんたに言われたくないですわ。」
「まァ〜た生意気言っちゃってェ。
なになにィ？カワイイ女の子でも見つけてきたァ？」
細長い目で煽ってくる。
「…見つけていません。一緒にしないでください。」
…もちろん、嘘だ。
人間の女にも男にも見つかっている。
__そんなこと、妖怪にバレたら即刻終わる。
「はァ〜。お前さんはつまらん男よのォ。
もっとワシみたいに冒険してみたらどうだぁィ？
たとえばさァ、人間にちょっかい出しにいくとかさァ！」
「…阿呆。それを今やったらどうなるか分かります？」
今は、まさに妖怪と人間の戦争中だ。
ガタイの良い妖怪や強い妖怪が作戦を立てて行っているのにコイツはそれを邪魔したいんか。
「そんぐらい分かるっちゅーの！
戦争が激しくなるにきまっとるやろォ！」
子供のようにニコニコ笑う。
…コイツは長い付き合いではあるが、未だに何を考えているかがさっぱり分からない。
…でも唯一妖怪の中で一緒に居てくれるヤツだ。そこは良いヤツだと言える。
「…ところでさァ、チビ九尾。
…もし、もう一度人間と妖怪が仲良くなれたらどうするゥ……？」
「…いきなり何を言い出すんですか。
…そんなの、もう夢のまた夢でしょう。」
「…そうかァ。」
少し、悲しそうな顔をする。
「俺なァ、人間と居るの、楽しかったねん。
戦争が始まる前、一緒にお前と人間の村にいったやろ？
あのときに見た、人間が作ったものに興味があってなァ。
…ほら、ワシらは妖術が使えるから、そういい手作りとかはしないやん。
…だから、全て手作りで作る物にワシは魅せられたんよ。
皆笑顔でな、俺にもたくさん教えてくれたんや。
その時が昨日のようにも思えるくらいワシはその事が楽しかったんや。
…でも。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 20人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
でんち(プロフ) - コメントありがとうございます。好きと言って下さり嬉しいです...ｱﾘｶﾞﾄｳ...ｱﾘｶﾞﾄｳ...頑張って更新するので気長にお待ちくださいm(*_ _)m (2018年7月30日 16時) (
レス) id: 583bffaab3 (このIDを非表示/違反報告)
結季 - 初めまして！小説を読ませて頂きました…めちゃ好きです、いいですねこれ…語彙力無さすぎて伝わりませんがめちゃ好きです… (2018年7月28日 7時) (レス) id: 717338bb0d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：五月雨 | 作成日時：2018年6月22日 18時
