前編 [耳攻め] 【旧双黒】 ページ1
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『やめ、「「好きなんだろ?遠慮すんなよ。」
「ほら、云われたい事云ってみなよ。」
目隠しをされ、何も見えない状態で左右から人の体温を感じる。
ソファに座らせられ、両手首を其々掴まれている状態が続いている。
「愛してる。」
「可愛いなァ?」
両方から耳元で囁かれるが、未だ此の位じゃ我慢できる。
未だ、大丈夫。‥‥‥‥ 其れに、台詞が好みと少し違う。
確かに嬉しいよ。こういう事云われたら。
でも‥‥‥此れ位だったら、
―――――――― 【 私は負けない。 】
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遡る事数分前。
一寸した出来心で 「耳攻めボイス」 なるものを聴いていた。
『(あ、耳が‥‥‥幸せ。頭も‥‥うん。)』
何て心の中で思いながら。
確りとイヤホンをして、一人でソファに座っていると何時の間にか眠っていた。
‥‥ ――――――――――――――。
― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
『ん‥‥‥』
体に掛かる重みと、頭に少しの違和感を覚えながら目を覚ました私。
然し、依然として視界は真っ暗な儘。
そして、何者かに抑えられて動けない。
背中に手を回されて体を起こすと、横から抱き付かれ、
それと同時に 何者か の正体が分かった。
『最悪。‥‥‥早く外してよ。』
「厭だ。断るね。」
『幼児かよ。』
私の身体を起こし、横から抱き付いてきた人物‥‥。
一人は太宰治。
『解放しなさいよ。』
「っふ‥‥ンな事するわけねェだろ。」
何、普通だよ。みたいなノリで云ってるんですか。
一人は中原中也。
二人はとてもご機嫌の様だ。
『何でそんなに機嫌良い訳?』
よくぞ聞いてくれたっ!!と、
太宰は私の手を取り、掌に何かを乗せた。
「其れ、何か分かるか?」
『え、私のスマ‥‥‥ホ。』
其処で気付いた。
私が大失敗をした事に。
先刻、眠りに落ちる迄何をしていた?
そう。 【耳攻めボイス】を聴いていた。
そして、其れからが問題だ。
『‥‥‥‥若しかして、‥‥見た?』
二人は纏う空気がより明るく柔らかくなり、
楽しそうに答えた。
【 嗚呼 / うん 】
今世紀最大ミスを犯した。
私は、液晶画面に【耳攻めボイス】を表示した儘眠りについてしまった。
【 して やる。 / あげる。】
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月瀬ゆうめ(プロフ) - りーこさん» 良かったです♪きゅんとするって云われるととっても嬉しいです(*^^)v (2019年6月25日 15時) (レス) id: b4fecee61f (このIDを非表示/違反報告)
りーこ - 双黒の結婚式 (2019年6月24日 21時) (レス) id: 140e75a81a (このIDを非表示/違反報告)
りーこ - とてもキュンとしました。 (2019年6月24日 21時) (レス) id: 140e75a81a (このIDを非表示/違反報告)
月瀬ゆうめ(プロフ) - 凍てつく闇さん» 全然そんな事無いですよっ!!私だって感謝しかありません!!チャットにならないように返信不要です♪良かったらボードに行きませんか? (2018年11月24日 18時) (レス) id: 07bb2550e4 (このIDを非表示/違反報告)
凍てつく闇(プロフ) - ああああ!そして優しい月瀬ゆうめさん!本当に…!感謝しかない!←今に嫌われそうな程ウザい勢い (2018年11月23日 19時) (レス) id: 6a03f091fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月瀬ゆうめ | 作成日時:2018年9月9日 17時