01 再会 −前章ー ページ2
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雑踏の中をひたすら歩き進んで行く。
何処に向かっているのか判らない。
何処に行けばいいのかも判らない。
幼い時は 終わりなき旅路は続く。とか格好良いなって思っていた時もあった。
だけど、今の目標が無いと生きていけない私にとって其れは悪夢に過ぎない。
行きかう人々と肩がぶつからないように歩く。
結構な大通りの様でカップルの姿がちらほらと見える。
・・・はぁ。良いな〜
自分に寄り添ってくれて、自分の事を理解してくれる人がいるとか。
生憎私にはそんな人いないからね。
一人もいない。ってわけじゃ無い。
だけど、もう私の前からは消えた人なんだ。
暫く人ごみに揉まれて疲れた私は、見つけた公園で一休みする事にした。
ベンチに座って空を仰ぐと飛行機が細長い雲を描いて自分の歩んだ軌跡を残していた。
静かに目を瞑って一人の世界に入ると
ちらつくのは血と憎悪の世界。
それと、幼い少年少女二人の姿。
少女は私で、少年は生きているかさえも判らない幼馴染。
元気にしてるかな。今も闇世界で生きてるのかな。
会いたいな・・・
そう、思った時だった。
「お嬢さん、こんな所で寝ていたら風邪ひきますよ?」
何処か懐かしさを感じさせる声が耳に届いた。
そして、目を開くと
「『・・・え?』」
其処には背の高くなった幼馴染の治が立っていました。
――――
――
―
「何年ぶりだろうね」
『ホントだよ。』
隣に座った治は身長がとても伸びていて顔も大人っぽく、そして男らしくなっていた。
見違えるほど美しくなった治は昔とは随分変わっていたけど一目でわかった。
「逢いたかった」
『私、丁度治の事思い出してた』
二人で顔を見合わせて幼い時のようにフッて笑う。
「何か私達恋人みたい」
『は!?こ、こ、こ、恋人!?』
「動揺しすぎだよ」
ポンって頭に乗せられた手が男の人の手で馬鹿みたいに鼓動が速くなる。
え、何で?治、は・・・幼馴染だよね。
「こんな再会。運命としか思えないんだけど」
『う、うん。』
運命という言葉にカァっと顔が熱くなって、
見られない様にベンチから立ち上がった。
「如何したんだい?」
『何でもないよー』
此処で云っておこう。
私は男性に対する耐性がほぼゼロに近い。
キスやそれ以上は経験している。が、それとはまた別だ。
だからね、
「ふぅ〜ん。」
【 照れちゃったか 】
不意打ちで顔を覗かれたりした時は堪ったもんじゃない。
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琴 - 太宰さん最推しでもーう頭パンクしそう (9月17日 12時) (レス) @page18 id: b1f1cb87b1 (このIDを非表示/違反報告)
もやし - 最高です………………えってぃちゅき…………… (2023年1月15日 16時) (レス) @page22 id: ebeddd0fcc (このIDを非表示/違反報告)
かみん - 太宰さん大好きなので、とっても嬉しいです!お話もとても面白く、引き込まれました! (2022年8月27日 16時) (レス) @page13 id: 3d19007a19 (このIDを非表示/違反報告)
月瀬ゆうめ(プロフ) - keyさん» keyさんありがとうございます!コメント頂けて嬉しいです♪ (2021年11月4日 23時) (レス) id: 4a5482ed8b (このIDを非表示/違反報告)
月瀬ゆうめ(プロフ) - かぷあさん» ありがとうございます!キュンだなんて!太宰さんへの愛が深まったって事ですね?!笑 楽しんで頂けて嬉しいです♪ (2021年11月4日 23時) (レス) id: 4a5482ed8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月瀬ゆうめ | 作成日時:2019年2月22日 21時