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港の番犬 ページ43

「皆様、ごきげんよう」

Aが快いヒールの音を響かせながら地下の酒場へ入って行くと、腕や背中に絵のついた大男たちが数人振り返った。まず一番に鼻を突いたのは酒の臭いと混ざり合った異臭。円台の上にはカードやお金。どうやら賭け事の真っ最中の様子だった。

「女が来たぞ?」

男は店の者を含めて6人いた。相当Aを嘗めきった様子だった。明らかに場違いなAに、一人がニヤニヤと笑いながら近づいてくる。


「新幹部の笹原と申します。今日はご挨拶に伺いました」
幼女と森の主のような圧倒的体格差に物怖じすることなく、首に蛇の模様のある男にAはそう告げた。


「あなたが夜警長の北本さんですか?」
「いかにも」
嗄れ声で男はそう言った。彼のその細い目と、首についた蛇の絵がこちらをキッと睨んでいた。アルコール臭でむせ返りそうだ。

「お嬢さん、折角来たのだから我々と一戦」
とポーカーをやっているテーブルへ腰を押されそうになった。

「触んないで」
振り払った男の手がじゅっと音を立てた。毛が、皮膚が、焦げる臭い。

「……っ!」
皮膚の厚い手にはこの程度ではネズミ花火のような効果しかないが、それでも驚かせるには充分だった。Aは蛇の男の足元をすくって床へ叩きつけた。驚いた拍子にさっと手に錠をかけてやった。

「かかれ!」
その声を合図に男たちが一斉にかかってきた。体の小さなAはひらりと体をかえして彼らの腕や足に文字通り焼きを入れてやった。

「夜景長の北本さん。まずはあなたから、職務放棄で死刑にかけましょうか」


Aが足をヒールで踏みながら拳銃を取り出すと男の目が震えた。彼の腕がじわじわと煮立って焼けてくるのだ。ただ焼けるだけではない。痛み以外の感覚が麻痺して暫く動けなくなってしまうのだ。Aはこの状況を楽しんでいた。


Aがこうなったのはたぶん梶井さんのせいだ。
「あら、お仲間が命の危機なのに誰も助けないのねぇ」

あっさりと頭目が床に倒されたのを見て他の男たちは動けなくなっていた。口をぽかんと開けた間抜け顔で皆そこへ留まっている。

「どうか……命だけ……はお助けください」

足元で声がする。Aはふふんと笑った。
「どうしようかしら」

ごくり、と男の喉仏が上下した。

   ゝ   →←幹部



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設定タグ:文スト , 中原中也   
作品ジャンル:アニメ
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さなえ@Love伊織(プロフ) - 百合姫さん» ありがとうございます。行間、ですね。参考になります!もう少し開けてみようと思いました。なにより読んでくださってありがとうございました! (2017年5月24日 0時) (レス) id: c77dc7fe4b (このIDを非表示/違反報告)
百合姫(プロフ) - たいです。勿論、高評価させて頂きました。長文、三つ前のコメントの誤字、失礼致しました。最後になりますが、さなえ@Love伊織様。イベントに参加して頂き有難う御座いました。此れからも、他の作品の更新など頑張って下さい。応援しています。 (2017年5月23日 1時) (レス) id: f05eea04c6 (このIDを非表示/違反報告)
百合姫(プロフ) - ありませんが、横書きの場合文が詰まっていると辿るのが少し難しいと感じたので。と、云っても此の書き方で行く、とさなえ@Love伊織様が決めていらっしゃるのでしたら、其れでも全く問題無いと思います。小説の書き方に沿った、素晴らしい物でした。私も見習い (2017年5月23日 1時) (レス) id: f05eea04c6 (このIDを非表示/違反報告)
百合姫(プロフ) - 文の間に改行を設けてはいかがでしょうか。一話を一つに纏める、ということでしたら文字数の影響もあるとは思いますが、見たところ其のような形式で書かれていないようなので、余裕を持って間を空けても良いと思います。勿論、書籍の様な縦書きの物なら空白は必要 (2017年5月23日 1時) (レス) id: f05eea04c6 (このIDを非表示/違反報告)
百合姫(プロフ) - 素晴らしいと感じました。占いツクールではあまり見ない、硬い?文章ではないありましたが其れも魅力の一つだと思います。話の流れ、文の構成共に普段から小説を読み慣れている方には、よく合う物だと感じました。僭越ながら、アドバイスをさせて頂くと台詞と (2017年5月23日 1時) (レス) id: f05eea04c6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さなえ@Love伊織 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/sanaeEs/  
作成日時:2016年12月21日 8時

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