〜イケニエとなりし鬼少年と人間の少女〜

第ジュウ話 ページ12

「ばっ……
化け物！！」

そう叫んだのは誰だったのだろうか。


ワシには、そんな事を理解する程、気力が残っていなかった。




嘘だ。

嘘、だ。

う、そだ。

「あ…ああ……あ、あ………
A……A……！！









ゔぁあぁぁあああぁあ！！」


嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ

A、A、A……！！


嫌だああぁああぁぁあぁぁあああぁぁあああああああぁぁあぁぁあああああぁあ！！！


「よし、無事に儀式は終えた。
そいつを元の場所に閉じ込めて来い。」



再びワシは、廃小屋に入れられた。

頭の中は、Aの事だけ。

A。

優しかったA。

綺麗だったA。

明るかったA。

鬼の様な自分を見て、
初めて驚かず、蔑まず、怯えず、
暖かい手を差し伸べてくれたA…

もしAが生きていたら、
もしAがイケニエに選ばれなければ、

わしが、もっと強ければ、

綺麗な顔を、声を、見て、聞けていたんじゃろうか？
綺麗なAともっと一緒に過ごせたんじゃろうか？

いや、違う。

悪いのは、すべてアイツらだ。


アイツらが、イケニエなど出さなければ。
アイツらが、もっと強ければ。

全てが丸く収まっていた。


アイツらが殺 した。

アイツらが
アイツらが
アイツらが
アイツらが
アイツらが

あ い つ ら が






「許さない……！！」

許さない。
Aを殺 した奴らを。
ワシからAを奪った奴らを。

復讐してやる……！！

その時まで、ワシは……！！




首だけになっても、生きてやる……！！

そう、心の底から誓った時だった…









『貴方の願い、叶えましょう』









子供の声がした。

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