59.すれ違い ページ9
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「ギョンスさん、
今日はありがとうございました。」
「いえ、こちらこそ。」
「あの…ギョンスさん。
最後にちょっとだけ、いいですか？」
彼女はいきなり俺にハグをした。
「好きなんです。
ギョンスさんのことが。
今日誘ったのも…。」
「ありがとうございます。
お気持ちは嬉しいです。」
「じゃあ…」
「申し訳ないのですが、
小野寺さんのお気持ちには
お応えできません。」
「そ、そうですよね…。
すみません、困らせるような
こと言ってしまって…。」
では。と軽く会釈をして
小野寺さんは足早に
その場から逃げるように去っていった。
全く気持ちがない人へ
きちんと断るのも礼儀だ。
さて、帰ろ。
今日は久しぶりに訓練も休めるから…。
ふと目先にあった、
道路を挟んだところにあるカフェ。
そして、窓際に見覚えのある男女。
「ベッキョン…と
Aさん…？？」
なぜあの二人が…
ただお茶してるだけか…？
そうだ。
今日俺が訓練を休んだら
Aさんに会える日が
遠のいてしまうのか。
あんな風に他の男に
先を越されてしまう可能性も____
どこかの誰かが訓練を促すように
俺にあの二人を見せたんだ。
こうしては居られないと
すぐさま家に帰って訓練を始めたのは
言うまでもない。
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ベッキョンと次に会ったのは
1ヶ月後だった。
「Aちゃん！」
『あ！ベク！』
「ごめんね、ちょっと待ったよね？」
『ううん、大丈夫！
あの、ちなみにさ…？』
「うん…？」
もう10月も終わり頃で
最近は肌寒かったのに
今日は少し暖かい。
太陽の光も結構強い。
『あの、吸血鬼って…
太陽の光には弱いんじゃ…？』
「あ、その話してなかったね？
俺は大丈夫なんだ！」
『え、そうなの？』
「吸血鬼にはそれぞれ個性があって、
俺は太陽に強い吸血鬼。
チャニョルは稀血に元から
少し強めな吸血鬼。
ギョンスは…」
『ギョンスさんは…？』
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作者名：ゆゆゆ | 作成日時：2023年11月5日 8時
