Vampire2℃ (ページ14)

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64.ありのままでページ14

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正夢かと思ったものが
プツリと消えてしまった。

『えっ、じゃあ…』

「Aさん、どうして
　そう思うのですか？」

『それはベクから聞いたので…』

「そういうことではなく、
　何故、私の能力がAさんに
　かけられていると思ったのですか？」
　

『えっ…？』

「ふふっ。
　私はAさんに
　“人間を虜にする能力”は
　かけていませんよ。」

何故かちょっと嬉しそうに笑う
ギョンスさん。

　
『でも____ 』

言いかけた瞬間に気づいてしまった。

ギョンスさんへ抱いていた恋心は
能力から生じたのでは無く、
本物だったんだ。

じゃあ、こ、これって私
ギョンスさんに告白してるのと
一緒じゃない…！？

「私の能力は確かに、
　人を虜にさせることができます。
　でも私は、本当に好きになった人には
　その能力を使わないようにすると
　決めているのです。」

ドクンドクンと心臓の音が
だんだん大きくなる。

『それって…』

「秘密を隠すことなく、
　本当のありのままの姿で私は
　Aさんのこと
　虜にできていたんですね。」

『ギョンスさん…。』

「他のお客様には悪いとは思っています。
　でもそうしていくのが
　吸血鬼の生き方です。
　吸血鬼の顔が整っているのも
　そういう理由からです。」

確かに、ギョンスさんを含め
ベクもチャニョルさんもイケメンだしな…。

「吸血鬼という存在は
　元は人間の敵なのです。
　嫌がられて当たり前、
　恐れられて当たり前の存在。
　そんな私を受け入れようとしてくれた
　Aさんは、本当に素敵な方で…。」

それから言葉に詰まるギョンスさん。

すると私の前まで来て跪くと
優しく手を取り、こう言った。

「今日Aさんに
　本当に伝えたかったことは…」

私の目を真っ直ぐに見つめ、

「…好きです。
　Aさんのことが。」

今まで忘れようと頑張っていた
感情が一気に溢れ出した。

『わ、私も…ギョンスさんのこと
　あれから忘れられなくて…
　ベクから能力のことを聞いた時
　利用されてたんだとショックで。
　頑張って忘れようとしたけど
　やっぱりできなくて…。』

「Aさんは今、
　私のことをどう思って…？」

『好きです…！
　忘れられないくらいに。』