61.自業自得 ページ11
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嘘つけ。
俺は能力を止めていない。
“人間を虜にさせる能力”
止めることも可能だが、
特に必要が無い時は
能力を解放しっぱなしだ。
「ギョンスさん、今日は背中の
マッサージお願いします〜」
まさか能力が効いてない？
「ギョンスさん〜？早く〜！」
いや、未だに来店しているということは
能力が効いてる証拠だ。
「あ、すみません。
今から始めます。」
そういえば、あと1ヶ月頑張れば
あの訓練も終わる。
うまくいけばだが。
…長いな、1ヶ月。
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時が過ぎ、もう本格的に
寒くなってきた11月の半ば。
恭子と予定がなかなか合わず、
今日やっとこの前のデート報告を
聞かせてくれるとのことで
私はいつもより緊張気味で
待ち合わせ場所に早く着いた。
前に私が目撃した
あの日のことだろうか。
数分するとこの前よりも
少し元気のない様に見えた恭子が
小走りでやってきた。
「もうきてたの？早いね？」
『いや！私もさっきだよ！』
「そっか！
っていうか、久しぶりだね」
『あの、なんか元気ない…？』
その言葉を聞くなり
彼女は少し涙目になりながら俯く。
「振られちゃった。」
『え、振られたの？』
「うん…好きな人が別に居るみたい。」
『そっか…残念…。』
「でもね、まだ通ってるの。
その人のお店に。
諦めきれなくて、
全然やっぱり大好きで、
私ってダメな女だよね…。」
『そんなことは…。』
「だけど、それでもいいんだ。
好きな人を近くで見れる、
それだけで私は幸せだから。」
昔の私に比べても
今の恭子の方が
ギョンスさんへの愛は
ずっとずっと強そうだ。
それがギョンスさんの
能力から生じた感情だったとしても。
『よし！
気分転換に、ランチしに行こう？』
ベッキョンが言ったことが本当なら
今こうやって悲しんでる恭子を
ギョンスさんはどう思っているんだろう。
…
あれから1ヶ月経った今、
ついに稀血を克服できた。
辛かった訓練も
Aさんのことを思えばこそ。
返事が来るかわからないが
とりあえず送信してみる。
“Aさん、お久しぶりです
もしお時間があれば
少しだけ会えませんか？”
既読がついたままで、
返事が来ない…。
それはそうだ。
最後に会った日に
もう会わないって自分から
言ってしまってるんだから。
自業自得か_____
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作者名：ゆゆゆ | 作成日時：2023年11月5日 8時
