52.デートへの切符 ページ2
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それからは必ずギョンスさんを指名して
会う度に好きが増していった。
私の生きる力になっていった。
それから半年が経ち、
ついにこの間…
「ギョンスさん…
今お付き合いされてる方は…？」
「いえ、居ませんけど？」
「そ、そうなんですね！」
キョトンとしたギョンスさんを横目に
私の頭はお花畑。
「どうしてそんなに
ニヤニヤしてるんですか？
彼女居ないこと馬鹿に
してるんですか？」
「いや、そんなことないですよ！！」
こうやってたわいもない話をしてるだけで
ドキドキして、楽しかった。
「あのっ…！」
「はい。どうされました？」
「あの、今度二人でお外でご飯とか…。」
「そうですね、スケジュールを
見てみないとわからないのですが
後ほどご連絡しても？」
「は…はいっ！！」
私はギョンスさんと
デートへの切符を掴んだ。
…
「なるほど。」
彼女はキョトンとした表情で
俺を見た。
「いきなり手なんて握って、
どうしたんですか？」
「あ、いえ。なんでも。」
この人からはプライベートのお誘いを
貰ってるのか。
こういう仕事柄、
プライベートのお誘いを貰いがちであるが
VIPの方以外はお断りをしている。
そうだ、この人はVIPだったな。
今日はそろそろ
その返事を言わないと
いけないようだ。
「この前のお誘いの件なのですが…。」
「は、はい！」
「まだちょっと立て込んでいるので、
もう少し先になるかもしれないですが
大丈夫ですか？」
「全然！大丈夫です、
ギョンスさんのご都合のいい時で！」
「…ありがとうございます。」
…
「えぇ、もう帰るんだけど俺。」
仕事終わりにチャニョルへ
頼み込んだ。
「頼むよ、一刻でも早くAさんと
一緒に居られるようになりたいんだ。」
「えぇ、明日でもいいじゃんか。」
“インパルスコントロール” とは。
吸血鬼が質の良い稀な血に遭遇した際に
発動してしまう吸血衝動を
自らコントロールすることを指す。
とうの昔にチャニョルは
それを習得して、今では稀血を探しては
美食家の舌を肥えさせている。
「頼む…。」
「しかたねぇなぁ〜。
雨降ってきたみたいだし、
止みそうになるまでの
1時間だけな？」
「よし！ありがとう！」
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作者名：ゆゆゆ | 作成日時：2023年11月5日 8時
