この胸のもやもやは ページ47
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「朔、まだダイエットしてるん？」
「…間食は、なるべく、しないように…頑張ってる…」
「あんま出来てない時の言い方やな」
今日のお仕事はだいちゃんと二人きりで。
ブラックコーヒーだけのわたしの手元をみて、小さく首を傾げる仕草がかわいい。
なんて思いながらの返答は、我ながら歯切れが悪すぎて案の定笑われた。
あー、
あかん〜〜〜
今日も笑顔が天最高すぎる…
ニヤけそうになって口元がムズムズするのを誤魔化すようにコーヒーを煽る。
恭平とみっちーのおかげで、メンバー全員にあっさりとダイエットがバレてしまったわけで。
みんなはやらんでええって言ってくれるけど、筋トレでもしてみようかな？
「少しぷよっとしてるくらいが、触ってて気持ちいいやん。もっと柔らかくてもいいくらいやで」
声が近なったなと思ったら、不意に抱きしめられた。
横から回された腕で強弱をつけてむぎゅ、むぎゅ、と柔らかさを確かめるようにされて、思わず体に力が入る。
寒がりのくせに基本高い体温が心地よくて安心感を感じてしまうけど、じわじわ頬に熱が集まって恥ずかしさから逃れたくてだいちゃんの腕を叩く。
「も…、っ離れてって」
「いや。
最近逃げへんようなったからだいちゃん嬉しいねんで、もうちょっとぎゅうさせて」
言葉尻に甘えたような響きを感じて、ちょろいわたしはきゅんとしてしまう。
こんなの絶対わざとやってるってわかってるのに、かわいくてずるい。
言い返す言葉を探して視線を彷徨わせていると、楽屋の扉をノックする音が聴こえて「はーい」と返事しながらだいちゃんはあっさりと離れた。
……もてあそばれている
恨めしい視線をだいちゃんに送ってから扉に移すと、ひょこっと姿を表したのは今日番組で共演させていただくアイドルの女の子やった。
自分も一応アイドルやけど、女の子らしさが断然違う。
彼女はだいちゃんを視界に入れると、頬を染めて嬉しそうにふわりと笑った。
「西畑さぁん、お久しぶりです！今日、ご一緒できるの楽しみにしてたんです〜よろしくお願いしまぁす」
「お久しぶりです。ご丁寧に楽屋まで挨拶来ていただいてありがとうございます」
「初めまして、安東朔です。今日はよろしくお願いします」
そういえばだいちゃんは前にも共演してたなと思い出しながら、初対面のわたしは少し緊張しながら挨拶をすると、彼女は一瞬の間を置いてからチラ、とわたしを一瞥した。
あれ？
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作者名：斗和 | 作成日時：2022年9月1日 22時
