なにわこじらせ女子２ (ページ28)

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【長尾】

繊細な花柄の刺繍とビジューで胸元はデザインされていて、デコルテや華奢な肩も露わで背中はＶ字に大きく開いている。
落ち感のある艷やかな生地の上品なドレープで、エレガントなシルエットのロングタイプのワンピースドレス。

大胆な肌見せも、落ち着いた淡いグレージュカラーがいやらしくさせない。

エクステなのか長くなった髪をハーフアップに。

少し高いヒールを履いて、メイクもいつものナチュラルとは違った大人っぽい印象で…

「……めっちゃ綺麗」

「馬子にも衣装やって？」

思わず溢れた言葉。
恥ずかし紛れに少し拗ねたような顔を見せるから、首を横に振る。

「ほんまに綺麗やって。いつもは可愛いけど、今はめっちゃ綺麗。…ちょっと緊張するもん」

撮影の一番手は俺。

普段ならそんなに意識しない距離感も、どこまで近づいて良いのか、どこなら触れていいのかもわからない。
耳に熱が集まるのを感じて、多分赤くなっているだろうけど、気づかないで欲しい。

カメラマンさんにもっと近づいて、と言われてぎこち無く体を寄せると微笑う気配がした。

細い指が肩に置かれて、重ねたその指の上に軽く頬を寄せてくる。
ふわりと甘い香りがした。

「いつもの自分と違いすぎて恥ずかしいけど…お世辞でも嬉しい。ありがとう」

少し首を傾げる仕草で見上げてくる。

本当は自分の容姿も魅力も、こちらのドキドキも、全部わかってるんやないかって…
わかっててやってるんやないかって疑いたくなるけど。

無自覚やからたちが悪い。

楽屋でメンバー相手に無理や、なんて泣き言を言っていたのはなんだったのかと思うほど艶っぽい表情。

自分だけがドキドキさせられているのは悔しくて。

仕事やし、と心の中で言い訳のように繰り返しながら腰に腕を回して表情を引き締める。

「…謙杜はズルいなぁ、”男の子”から急に”男の人”になるん…ほんまズルイ」

なんて、唇を尖らせて。

ほんまにどの口が言うねん。

自分こそいつもは紅一点らしさなんて皆無で。
ボーイッシュな服装ばっかりやし、流星くんより女子力ないし、自分の居るグループのオタクやのに

時々めっちゃ可愛いし
仕事モードの時はめちゃめちゃアイドルやし
ファンサやってエグい

「朔ちゃんのがズルイわ」

「なんでぇよ」

あー、
俺だけで撮影終わりやったらええのに。

この後に続くメンバーとの撮影とか、

チリッと胸の奥が焼ける気がして、細い腰に回した腕を強く引き寄せた。