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気まずすぎて時間の流れが妙に遅く感じる。
もう、誰でも良いから早う戻ってきて欲しい！
だいちゃんの表情を見るのが怖くて、抱えた膝に顔を埋めて小さくなる。
やけに響く時計の秒針の音に紛れて、ため息をつく気配がした。
衣擦れの音が聞こえて、ぱっと顔を上げると扉に向う姿が目に入る。
同じ空間に居るのも耐えられへんってこと？
…これは本当に不味いんじゃないか？
焦りに突き動かされて慌てて駆け寄り、咄嗟にだいちゃんの手を掴む。
少しだけ驚いたように瞳が見開かれたのも一瞬で、直ぐに感情を無くしたようにわたしが掴んだ手に視線が落とされた。
「……なに？」
「ご…ごめんなさい…、わたし何かやらかした？考えてみたけどわからなくて──わからないのもほんまにごめんなさい、なん、やけど…」
緊張して震える手にぎゅっ、と力をこめる。
振り払われるでもなく、握った手をだいちゃんはただ見つめてる。
「あの…っ…だいちゃんと今日、全然目ぇ合わへんし、めっちゃ気まずいくて…
もう、怖くて耐えられへん…お願いやからいつものだいちゃんで居って？…嫌い、に…ならない、で…」
鼻の奥がつんとして、視界が潤む。
考えないようにしてたけど、”嫌われた”のだとしたらと、言葉にしてしまったら苦しくて…。
泣いてしまわないように下唇を噛み締めていると、握っていた手を逆に握られて強く引かれる。
次の瞬間にはぎゅうぅっと苦しいくらいに抱き締められていた。
「……、ぇ？」
「ごめん！まさかそんなに落ち込むとは思わんかった…嫌いになんて絶対ならんから…冷たくしてほんまにごめん」
いつもの優しい声。
なにが起こったのかとぽかんとしていると、ガチャッと楽屋の扉が開いて
「ドッキリ大成功ー！！」
てってれ〜、とメンバーがみんな入ってきて。
よく見るとカメラも回っていて……
「You Tubeです。いつも甘々ベタベタな大吾が突然冷たくなったら朔はどうするか？っていう──……待って、ごめん」
丈くんがネタバラしをするも、嫌われたんやないってわかって心底ほっとしたわたしの目からは、滝のように涙が溢れてきて。
それを見たメンバーは焦りだした。
「朔ちゃんが泣いた…っ」
「大ちゃんの演技がガチすぎたんよ〜」
「あーぁ、大吾くんやったな」
「ほんまごめんて、泣かんとって〜！俺やってめっちゃ胸が痛んだんやで？もう一生甘やかすからぁ」
「…ぅう〜っ…、ぅ…ぇっ…」
「朔〜〜〜…！」
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作者名：斗和 | 作成日時：2022年9月1日 22時
