なにわこじらせ女子２ (ページ24)

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「お疲れ様でしたー！」

収録は何事もなくスムーズに終了。

丈橋と道長で、引き続き動画の撮影をすると言うことで別室に移動していった。

ゼロ距離で楽屋に向う大西畑の背中は、いつもなら微笑ましいものだけど、今は凄く壁を感じて寂しくなる。
結局、収録が終わってしまえばまた、だいちゃんとは一切視線が合わなくなってしまった…。

少し離れて後に続きながら小さくため息が漏れる。

ふいに背中に重みがかかり、振り返らずともわかる犯人の名を呼ぶ。

「きょーへー、重いぃ〜。急になんなん〜？」

細身ではあるけど、上背があるのでなかなかの体格差。
横を歩いていたはずの恭平に圧しかかるように貼り付かれては歩みが進まない。

なんの返答もない恭平を貼り付けたまま、ずるずると引きずるようにして廊下を歩く。

楽屋についた頃には息も絶え絶えで、だけど、さっきの寂しかった気持ちは少し紛れていた。

もしかしたら気を遣ってくれたんかなぁって、肩に掛けられていた腕に大丈夫やでって気持ちでぽんぽんと触れる。

「ちぃちゃいのに俺を運んでこれるんとか、力持ちやな」

「いや、わたしのライフはもうゼロよ…」

ヨレヨレで楽屋の扉を開くと、同じタイミングで流星が出てくる。

「来るの遅ない？恭平、スタッフさんから呼ばれたから行くで。朔ちゃんはもう少し待っとってって」

「えっ…」

戻ったばかりなのに、流星に連れられて恭平はいってしまった。
つまり、楽屋にはわたしとだいちゃん、二人きりになるわけで。

いつもならおいでーって、優しく呼んでくれるけど今日はノーリアクション。

やっぱりお仕事だから普通にしてくれてただけで、わたしは避けられていると確信してしまった。

なにがいけなかったのか訊きたいけど、急に二人きりだと緊張しちゃって、少し離れた所に座る。

室内はしんと静まり返っていてめっちゃ気まずい…

どうしよう
なんて切り出したらいいのかわからん…

いつだったか言われた

”あんまり逃げ回っとると、だいちゃんも逃げてしまうかもしれへんで？”

言うてもだいちゃんやし、きっと変わらずに居てくれるはずって
わたしは甘えきっていた…

こんなに遠く感じる日が来るなんて思わなかった。
思考がドツボにはまってく。

ネガティブなほうにしかいかん。

あーん恭平なんで行ってもうたん…！

呼ばれたからやけど。