なにわこじらせ女子２ (ページ23)

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「だいちゃん、みっちーの話聞いた？おもろいなぁ」

「…あぁ。そやね」

………しーん。

スマホに視線を向けたまま、こちらを見もせずに返されたぺらっぺらに薄い反応。

いつもなら大した話じゃなくても確りと返事をしてくれるし、小さな呟きも拾ってくれたりするのに…。
見たこともないような塩対応に次の言葉が出ず、すごすごと引き下がる。

「…大吾くん、今日はなんかちょっと変やね」

「……疲れてるのかもね。わたしうるさかったかも」

みっちーと、なんとなく声を潜めてこそこそ話す。

だいちゃんが変なのはわたしに対してだけかも、なんて言えなかった。
たぶんみっちーも薄々気づいてはいるけど口に出さない。

実は楽屋入りした時からこんな感じで、なんとなくわたしだけを避けている気がしてる。

現に今もいつも通りりゅちぇに甘々やし、ついさっきのは幻覚だった？ってくらい通常運転。
きょろちゃんとも楽しそうに何かで盛り上がっている。

そう、わたしにだけ、塩対応なのだ。

入所して以来、何かと迷惑をかけてきたし本気で注意された事もあった。
だけどこんな…興味がない、関心がない、みたいな態度は初めてで。

みっちーが心配そうな目で見てくるから、なんでもないふりを装っているけど、内心汗ダラダラ。

え？

わたし、なんかやらかした？

いつもなら必ず目が合うのに、一回も合ってない。

一度もわたしを見てくれてない…。

何か怒らせるような事をしてないかとぐるぐる考えるけど、まったく思い出せないままレギュラー番組の収録が始まってしまう。

地面にめり込んでしまいそうなほど気持ちが重くて、正直、お仕事どころやないんやけど。

私情で迷惑をかけるわけにもいかず、無理矢理気持ちを切り替えて集中する。

収録中はだいちゃんの態度もいつも通りで、普通にわたしの顔を見て、目を合わせて話を振ってくれて。
八重歯を覗かせて見せてくれた笑顔に、胸がぎゅっと掴まれたように痛くなる。

…収録中やし、わたしが嫌やとしても普通にしてくれるよなぁ。

さすが演技派アイドル。
普通すぎて冷たい態度は幻だったんじゃないかって思えてくる。

もしかしたらほんまにわたしの気の所為かもしれない。

考えすぎるのは止めよう。

収録が終わったらまた話しかけてみよう。

もやもやする気持ちは見ないふりをして、なんとかお仕事に集中した。