7話 ページ22
＊ちょっとですが、暴力表現あります。苦手な方は御自衛ください。
ﾄﾞｺﾞｰﾝｯｯ
｢ぃってぇ。｣
・・・は、っや。
敵意丸出しの言葉と共に向かって来た拳を避けきれず、
俺は、壁際まで、軽々と吹っ飛ばされた。
こんなに違うもんなの？
あやかしと狐って。
体の痛みに顔をしかめていると、
｢守り神とてこんなものか。期待して損したのう。｣
妖狐が、ゆっくり歩み寄ってきた。
｢殺すも何も、これでは楽しめぬわ。｣
どうやら俺を玩具にしたいようだ。
・・ってか、
｢そんな簡単に、｣
｢何か言うたか？｣
生憎、俺力は弱いけど、それなりの妖力有るんで。
舐めてもらっちゃあ、困るんだなぁ。
｢言ったとも。｣
大好きなヤツの姿をした、憎くて仕方ないソイツを見上げて、
ニヤッと笑ってやった。
｢そんな簡単にやられてたまるか。｣
＊・＊・＊・＊・＊・＊・＊・＊・＊・＊・＊・＊・＊・＊・＊・＊・＊・＊・＊・＊
俺の煽りは、見事アイツの闘争心に火を付けたらしい。
妖狐は、怒り狂う事こそしない物の、少しずつ乱れて来ている。
俺はと言うと、逃げて、隠れて、アイツの様子を観察して、の繰り返し。
え？戦わないのかって？
作戦立ててるから、だあいじょうぶ！！
それに、もう少し時間が欲しいの。
アイツに隙が出来さえすれば、俺から仕掛られるから・・・って、
アイツどこ行った？
見回してもどこにも居なくて、俺は思わず、物陰から飛び出してしまった。
それが失敗だったみたい。
｢戦闘中に余所見とは、感心せんな。｣
｢なっ！？！？！？｣
空気を切り裂くような速さで俺の前に姿を現した妖狐。
その拳を、今度こそ避けきれる、と言う訳でもなく。
諸に腹に受けて踞る。
そんな俺を一瞥した妖狐は、躊躇も容赦もなく、俺の首元を掴んで持ち上げた。
｢ｯ、ｶﾊｯ｣
｢御主に特に恨みは無いが、ちと邪魔での。｣
少し愉しそうに、残忍な笑みを浮かべる妖狐。
懐から短剣を取りだし、大きく振りかぶった。
｢死ね｣
あ、ヤバい、これは、死ぬヤツだ。
そう感じて、ぎゅっと眼を瞑る。
・・・ったんだけど、中々衝撃が来ない。
あれ？もしかしてもう死んだの？
いや、それは流石に無い。
とにかく、固く閉じた瞼を恐る恐る開けると、
｢っえ、どう、なってんの、？｣
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作者名：桃百合 | 作成日時：2023年12月12日 9時
