5話 ページ20
菫月に初めて会ってから１ヶ月。
なんやかんや合って、俺はあの日から菫月と一緒に暮らしている。
菫月と過ごしていて分かった事。
その１、
｢菫月っ、いい加減起きろっ！！｣
｢...う〜ん…ひかるぅ、あとすこしぃ。｣
月神だからなのか、意外と朝に弱い。
その２、
｢やっぱ散歩行こうかなぁ。｣
｢さっき、今日は家にいる、って言ってなかった！？｣
子供っぽくて、自由。
・・・俺より、200歳は年上の筈なのに。
その３、
｢なんか、狭くない？｣
｢俺の顔がでかいからだよっ！！ってかそこまでではねえわっっ！！｣
｢(笑笑)｣
意外とボケたがりで、ツッコミ上手。
そのせいか、菫月のいじり方まで分かった(笑)
そんな幸せな毎日だったからかな。
油断してたんだ。
"俺はもう大丈夫"って。
その日は珍しく菫月がいなくて、俺は、１人、菫月の帰りを待っていた。
菫月がいない、というのは、俺にとって結構な不安の材料だったりする。
(本人には言わないけど。)
昔の、"独り"だった頃を思い出してどうしようもなく怖くなってしまうのだ。
・・・そろそろ帰ってくるだろうか。
差し込む夕日を眺めながら、ぼんやり、そんな事を思う。
外で待とう。
そんな結論に至った俺は、入り口へと向かった。
どうせ何もやることが無いのだ。
外にいる方が退屈しないし、菫月にも早く会える。
そう思ったのがいけなかった。
外に出た瞬間、突き飛ばされるような衝撃を受けた。
受け身を取るも、痛みで、頭がまわらない。
ぼやけた視界に写り混んだのは、
見覚えのある、黒い、狐。
｢感謝する。｣
聞き覚えの無いしゃがれた声を最後に、
俺の意識は、闇に放り込まれた。
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作者名：桃百合 | 作成日時：2023年12月12日 9時
