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4話 ページ19
さっきから、気になっていた。
洞窟の中みたいだけど、天井が、淡く滑らかに光っていて、
奥に、深紅の鳥居と、古びた祠があった。
｢ここは、俺が祀られてる祠。ほら、俺、一応神様だから。
まあ、家みたいなもんかなぁ。｣
｢ああ、なるほど。・・でも、何で、俺なんかを・・？｣
｢ん〜、
君が、苦しそうだったから、かなぁ。｣
｢・・え、？｣
驚いた。
俺を理解してくれる人なんて、数える程しかいなかったから。
｢自分の心関係なしに、人を殺さなきゃならなくなっちゃたんだもん。
辛いと思うのよ。優しい子なら、なおさらね。｣
言葉が、ひび割れた傷に染み込んでいくように、胸に入った。
誰かの温もりを感じたのは、何年ぶりだろうか。
｢もう、だいじょうぶ。｣
菫月は、俺の顔を見て、柔らかく笑った。
｢いままで、よく耐えたね。｣
あっという間に、視界が滲んでぼやけていく。
俺だけに向けられたやさしさが嬉しくて、
包み込んでくれるような感覚が懐かしくて。
自分でも、こんなに泣き虫だったっけ、って思うくらい泣く俺を
菫月は、華奢な体で、力一杯抱きしめてくれた。
その姿に、この人はやっぱり、俺達の守り神なんだなって思った。
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作者名：桃百合 | 作成日時：2023年12月12日 9時
