孤独の狐 (iwfk) ページ16
*流血表現あります。苦手な方は御自衛ください
*この話の中の狐っていうのは、九尾の狐・妖狐です
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「ギャアッッッ」
ビシャッ
闇夜に断末魔が木霊する。
鮮血が飛び散り、白く、冷たい地面に、真紅を広げていった。
真っ赤な血溜まりを背に月明かりが照らし出したのは、九の尾を持つ漆黒の狐だった。
・・・一人、逃げたのだろうか。
荒い息遣いが、段々と離れていく。
狐は、逃がすまい、とでも言うように、
金色の瞳を爛々と光らせる。
そして、狙いを定め、さらけ出された首元に喰らいついた。
ドサッ
獲物が絶命したのを確認すると、狐は、"彼"の元へと走り出した。
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血の海と化した場所に"彼"はいた。
新たに赤黒いシミが追加された黒い袴。
毛先が赤く染められた、柔らかなクセっ毛。
滑らかな深紅の着物は気崩され、胸元から美しい肉体が覗いている。
そして、黒い狐の面から、鋭い黄金の瞳が、
足元に転がった幾つもの亡骸を、悲しそうに、見下ろしていた。
そんな彼の元へ駆け寄った狐は、
嬉しそうに一回転して
霞のように
掻き消えた。
(あぁ、まただ。)
彼_ヒカル_は、周りの有り様を眺めながら、ぼんやりとそう思った。
(また、人を殺してしまった。)
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作者名:桃百合 | 作成日時:2023年12月12日 9時