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巫女を訪問 ページ4

「巫女様、A公主様がおいでになりました」

「お通しせよ」


侍女に促され、A公主は独特な雰囲気の漂うその部屋に入る。

とりあえず、薄暗い。

天井はばか高いのに、灯りが全て紫色と赤色で統一されているせいで、圧迫感が半端ない。



これもまた、濃い紫色のカーペットの上を進むと、

突き当たりに脚を思いっきり開いて座っている巫女。


A公主が近くに行って初めて、その膝をくっつける様にした。



「本日はどのような御用で?」


女にしてはハスキーで、男にしては甲高い声。



「どのような御用、よりも先に、挨拶からするべきじゃないの?

私たちこうやって会うの、久しぶりなんだから。

ねえ、フイ様?」


「ま、まあそうかもしれないわね」


A公主に向かってだけは、酷い口の利き方を平気でするのが、この巫女だ。

王女みんなにそうしている訳ではない。唯一年下であるA公主だけにそうしている。



「まあいいわ。私は今日、フイ様にご挨拶に来た訳じゃないもの」

「じゃあ、どういうわけ」


A公主は、ひとつ息を吐いて、

それから毅然として言った、


「私、人間になりたいの」



沈黙。

どこからか吹いてきた隙間風が、神殿の上にある不気味な置物を揺らす。



「人間に? どうして突然?」

「王子様に会ったの」


巫女はあからさまに、げ、という顔をして見せた。



「どうしてまた、そんなベタな展開に」

「どうしてかは知らないけれど、気がついたら童話とそっくりの展開になっていたの」


それから、A公主はこれまでの経緯を事細かに言って聞かせた。

巫女の方は途中からウンザリとした様子で見ていたが、それも知らないで。



「だから、どうしても人間になりたいの」


そう言ったA公主の目は、“王子様”の目に負けず劣らず輝きを持っていた。


コクコクと何度もテキトーに頷く巫女、


「ふーん、じゃあ頑張れ」


軽いノリで言うと、ヒラヒラと手を振って部屋から追い出そうとする。



A公主はぷりぷりと怒った。


「とぼけないでよ! フイ様に応援されたところでどうしようもないじゃない。

そうじゃなくて、薬をちょうだい。人間になれる薬」

巫女を訪問2→←短絡的な思考の末路



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作者名:スヒョン | 作成日時:2016年11月19日 21時

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