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朝早く起きてしまい、たまには鍛錬をするのもいいだろうと剣道場へ向かう。
「━━━!」
「あ…」
一番乗りかと思ったが、そこにいたのは木刀を振りながら宙を舞うお姉ちゃん。
その姿は神楽を舞う巫女のようで、キラキラと煌めく炎がよりお姉ちゃんを神聖に見せる。
「あれ、桃?おはよう」
「お姉ちゃん、おはよう。
たまたま目が冴えたから…」
お姉ちゃんはもう一本木刀を持ってくると、私に向けて木刀を投げる。
「久しぶりに手合わせしようか」
「…今日こそは負けないから」
お互いに不敵な笑みを浮かべ、ほぼ同時に飛びかかる。
ガガガガと木刀がぶつかり合う音が響く。
私の一番得意な突きを繰り出すが、お姉ちゃんはお得意の棒術の要領で攻撃をすべて受け流す。
「速くなったね桃!」
「お姉ちゃんに勝つために努力してるから…ね!!」
今までで一番速い突きを出すが、お姉ちゃんは後ろにバク転して避ける。
流石武芸十八般の達人と言うべきか、一つ一つの動きに無駄がなく、剣術以外もうまく取り入れている。
だからといって負ける訳にはいかないけど!!
さらに動きを速める。
「なるほど…
妖術で水素に引火させ爆発。
その爆風で加速か。考えたね」
「相変わらず理解が早いこった…
まぁ対応する前に一本取ればいいけどね!!」
突きを再び出すと、少しお姉ちゃんの顔が歪む。
よしっ!!いける!!
「油断大敵…だよ!!」
突きを出そうと腕を上げると、お姉ちゃんは無防備となった脇腹に木刀を当てる。
「…降参。…もうちょっとだったんだけどなぁ」
「ふう…流石に今日は焦ったよ。
お姉ちゃんとして妹に負ける訳にはいかないからね」
床に2人で寝っ転がり、肩で息をする。
「お二方、そろそろ朝餉ですよ」
「菊兄さん…ちょっと休ませて…」
「菊兄様!少し水浴びをしてきます」
手拭いで汗を拭き取り、フラフラと立ち上がる。
「手合わせしてたんですね。私の部屋まで音が響いてましたよ」
「朝早くからすみませんでした…
相変わらずお姉ちゃんには到底及びませんよ」
「2人とも頑張り屋さんですからね。
優も言ってましたよ。最近は桃が強くなって対策を考えるのが大変だ、と。」
「お姉ちゃん、頭脳派ですからね…」
フワフワした性格だけど、勝負となると別人のように逞しくなる負けず嫌いな、まさに大和撫子という言葉が合うお姉ちゃん。
そんなお姉ちゃんだから私は負けたくないし、尊敬しているのだ。
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ゆり - え!待って、私も桜柱なんだけど❗しかも、桜の呼吸一緒です。頑張ってくださいね。応募しています。 (2021年11月19日 21時) (レス) @page26 id: b7d6d649b3 (このIDを非表示/違反報告)
寒露桜(プロフ) - 九狐神さん» 頑張ってください......!無理だけはしないように......! (2020年5月3日 17時) (レス) id: 4b3ed537f2 (このIDを非表示/違反報告)
九狐神(プロフ) - 寒露桜さん» ありがとうございます!なるべく毎日更新できるよう、頑張りますね! (2020年5月3日 17時) (レス) id: b9aa34a2cc (このIDを非表示/違反報告)
寒露桜(プロフ) - お話の続きが楽しみです......!!次回の投稿待ってます! (2020年5月3日 8時) (レス) id: 4b3ed537f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:九狐神 | 作成日時:2020年4月29日 22時