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『早く冷やすもの取ってきて』
「あ、あぁ」
降谷が素早くバックヤードの方へ飛んでいくのを見て、ため息をつく。
小学生相手に何しているんだアイツは。
『ごめんね。コナンくん。痛かったでしょ?』
「ううん。こんなの小五郎のおじさんのに比べたらどうってことないよ」
へへっと力なく笑う少年を無性に抱きしめたくなる。
可愛いは正義だが時に罪だ。
「だからね。安室さんのこと許してあげてよ」
『コナンくん…?』
少年の行動に何か引っかかるが
「安室さんはAさんが特別だから僕につい嫉妬しちゃったんだよ。だから許してあげて。ね?」
座高とはいえ、身長差のあるコナンくんからの上目遣いおねだり。
当然、私は受けれ入れるしか選択がなかった。
再びバックヤードの方から急いで氷を持ってきた降谷の手から受け取ると、コナンくんの頭を冷やす。
触れているタオルから伝わる氷の冷たさが私の頭に冷静さを取り戻させる。
せっかくコナンくんが間を取り持ってくれているんだ。言うなら今しかない。
『ごめんね……安室さん』
「え…」
きっと彼も思い出していたのだろう。
以前、同じようなことで私が1週間も口を聞かなかったことを。
あの時も私たちの仲を取り持とうと、彼の親友である諸伏景光くんが私に口添えをしにやって来たことがある。
アイツも反省してるからもう許してやってくれと。
徹底して話してなかったために、私も引っ込みがつかなかったというのもあって1週間も経っていたのだ。
さっき何か引っかかっていたのもこれだろう。
コナンくんが景光くんの行動にそっくりで既視感があったからだ。
『私もついカッとなっちゃってごめんなさい』
「怒って…ないんですか?」
『あの時ほどは怒らないよ。私も貴方も歳を取ったし、いつまでもこのままってわけにはいかないし、それに…』
もう私達に介入してくれる人なんてその場に偶然居合わせてくれてたコナンくんぐらいしかいないんだから。
降谷がたいていのことは受け流してくれているが、もし今私達の間にとてつもない亀裂が入ってしまったら一環の終わりだ。
そんなことを考えているとかつての仲間の死に心を痛め涙を堪える。
"彼の力は人を傷つける為にあるんじゃない。
守るためにあるのよ。
だからむやみに振るうべきじゃないの"
そう諸伏くんに伝えた過去が脳裏を過ぎって更に私の心臓を痛めつけていった。
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明里香(プロフ) - 空回りの話、誤字がありました。「お箱だろ」ではなく、「十八番だろ」です。 (2021年2月22日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 夢主が降谷君の事を勘違いするシーン、面白かったです^_^降谷君、策士だなぁと感じました!続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2019年12月9日 15時) (レス) id: fb97b4034b (このIDを非表示/違反報告)
星香(プロフ) - 坂竹会長さん» ありがとうございます(o^^o)はい!コナンの夢小説に限らずですがたくさん素敵な作品があると思います。私の作品もその1つになれたらなぁー…と笑更新地道にやっていきます!吐血大丈夫ですか?! (2019年7月25日 13時) (レス) id: 3c957dd699 (このIDを非表示/違反報告)
坂竹会長 - 面白いです!久々にコナンの夢小説見に来たのですが、やっぱ燃えますね♪((更新頑張ってください!! 失礼しましゴホッ_ー¶#_スミマセン、トケツシマシタ (2019年7月24日 6時) (レス) id: d6f7fc00e7 (このIDを非表示/違反報告)
星香(プロフ) - あかりさん» あかりさんありがとうございます!更新頑張りますね!! (2019年7月19日 15時) (レス) id: 3c957dd699 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星香 | 作成日時:2019年7月8日 20時