降谷サン？邪魔しないでください。【降谷零／安室透】

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『風見ざーん、だずげでぐだざい』





ある料亭の個室で私の情けない声が響く。






「…いきなりなんですか？今日はこちらに来るとは伺っていませんでしたが」





定時であがれたこんな素晴らしい日に用もないのに警視庁まで飛んで行ったわけ。


それはここ最近の降谷に原因があった。





『降谷が…降谷が……壊れた』





その途端、風見さんの動きが停止する。


そして風見さんはｶﾀﾝと箸を置くと咳払いをしてようやく話を聞こうという体勢に入った。





「壊れた…とは？」


『あの冷徹無情な上司がですね、なんかやたら優しいんですよ』


「はぁ…そんなことですか」


『そんなことじゃないですよ？！不気味ですよ！』





思わず声を大きくしてしまうが私にとっては一大事。


あの降谷がだよ？


安室さんの姿ならまだしも降谷の姿で優しさ振りまくなんて恐ろしいでしょ？


だって、風見さんにいきなり手首を捻ってこれでよく公安が務まるなって言うようなやつだよ？


容赦ないで有名な降谷がこうなった理由を推測すると






『誰ですか？！降谷を改心させたのは』


「誰と言われましても…」


『やっぱり女ですかね』


「えっ…」


『どこぞの女に惚れて機嫌がいい。それしかないです』





そう言いきってなんとも言えないこの感情を店員呼び出しボタンにぶつける。


早速個室のドアが開いて店員が入って来たので呪文のようにこう呟いた。





『生追加で』





その言葉にｷﾞｮｯとした風見さんがつかさず





「Aさん。さすがに明日、二日酔いは不味いですよ」


『私は二日酔いを引き換えにしてでも今飲まなきゃいけないの』


「待ってください！降谷さんに怒られます…！」


『大丈夫ですよー。どうせどこぞの女のおかげさまで降谷さん上機嫌じゃないですか』


「いや、それは…」


『はーい。じゃあ生もう1つ頼んじゃいましょう！』





風見さんの静止の声を聞かずにお酒を飲む。


別にお酒は弱い方じゃない。


むしろ強い方だ。


そう呑気にお酒を飲んだ私が悪かったのだろう。


まさか次の日、ああなってこうなってあんなことになるなんて思ってなかったんだから。

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