降谷サン？邪魔しないでください。【降谷零／安室透】

＊降谷side ページ12

降谷side






「神崎Aを今回のFBIとの共同戦線に狙撃手として参加させる。彼女にもそう伝えてくれ。話は以上だ」


「はい。失礼します」






ﾊﾞﾀﾝとドアを閉め切ったのを確認して一息つく。


ついにAが捜査会議の主要メンバーの一員に加えられる。


そこはいずれは妥協しなければなかった。


しかしだ。


今回の共同戦線は赤井とAのペア。


これが何を意味するか。


信頼関係を得る為に、暫く2人は行動する必要がある。


だから2人の仲が急接近してしまうことは間違いない。







「赤井にAを取られる…」






そんなことあってたまるか。


そう考えてしまうと近くの壁にﾄﾞﾝｯと拳を殴りつけていた。


Aを惚れさせるには長期戦だと覚悟はしていたが、こうもかっ攫われそうな状況に胸がﾁｸﾁｸと痛む。


今日、アイツが登庁するのは午後から。


それまでにこのイライラはどうにかするとして、問題はどう彼女の心をこちらへ惹き付けておくか。


今日、明日で好意の目を向けられることはまず難しい。


だったら…









＊









＊







「おはよう。お前が来るの待ってたよ。急ぎの書類を頼みたいんだが時間大丈夫か？間に合いそうにないなら僕も手伝うが」


『え…はい。大丈夫です。残業にならないよう今から片してきます』




一瞬戸惑うが何事もなかったようにデスクに着く彼女を横目にしてコーヒーを買いに行く。


室内を少し出たところで、いつものポーカーフェイスをといて、ゆるゆるとあがる唇の端をあげる。





『…かかったな』





きっと今頃の彼女は僕の行動に身震いでもしているだろう。


そう。アイツには共同戦線が終わるまでいつもの何十倍も優しく甘く接するつもりだ。


なに。


たかが2週間だ。


その間、彼女への接し方を変えれば嫌でも気になるだろ？


アイツの注意は常にこちらに引き付けておき、何を問いただしてきても笑顔で受け流せばいい。


最初は不気味がるだろうがアイツの性格上、気になって放ってはおけないだろう。


あぁ、でも赤井と組むことは目の前で喜ばれると癪だからメールにするか…。


これは賭けでもあるが、なんせ今まで試したことがないのできっと上手くいく。


何がなんでも赤井なんかにAをやるわけにはいかないからな。

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